テクノロジー

2022.04.27 12:05

「マスクが経営するツイッター」は中国政府の介入を防げるか?

Photo illustration by Chesnot/Getty Images

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イーロン・マスクによるツイッターの買収が現実になった今、一部の専門家は、テスラがその事業の多くを中国に依存していることから、この動きが、中国政府がツイッターに影響力を行使することにつながりかねないと警戒している。

ツイッターの取締役会は4月25日、マスクの440億ドル(約5,6兆円)の買収提案を受け入れると発表した。マスクは、「言論の自由は民主主義が機能するための基盤であり、ツイッターは人類の未来にとって不可欠な事柄が議論されるデジタルな街の広場だ」と声明で述べた。

一方で2021年に、中国はテスラにとって最大の自動車生産拠点となり、おそらく2番目の市場となる見通しだ。長年中国を取材してきたニューヨーク・タイムズ(NYT)のマイケル・フォーサイスによると、中国は、2009年にツイッターを禁止して以降、ツイッターに影響力を持たなかったという。しかし、マスクによる買収で、「その状況に変化が訪れるかもしれない」と彼はツイートした。

この投稿はアマゾンのジェフ・ベゾスの目に留まり、「中国政府は町の広場に対してちょっとした影響力を得ただけなのか?」と、フォーサイスに問いかけた。

テスラは、中国で自動車組立工場の完全所有が許された最初の海外の自動車メーカーで、同社の「ギガ上海」の建設資金には、中国建設銀行や中国農業銀行などの地元銀行からの13億ドルの融資が含まれている。

中国政府は、テスラの参入が、中国の自動車メーカーの対抗心をかきたてることを期待し、テスラに対して特別な許可を与えたと、専門家は考えている。BYDやNIOなどの中国企業が、魅力的なEV(電気自動車)を次々と発表し、テスラのライバルとして急成長していることから、この措置は功を奏しているように思われる。

中国政府に従順なイーロン・マスク


マスクは、米国で規制当局に反抗心をむき出しにするのとは対象的に、中国では政府の方針に従順だ。その最も顕著な例は、新型コロナウイルス関連の規則に対する対応で、2020年初頭にパンデミックが始まったとき、マスクは、カリフォルニア州の命令を批判し、「人々が家から出られない、出れば逮捕されるというのはファシズムだ」と発言した。

一方で、中国政府がオミクロン株の感染拡大を阻止するために、同社の上海工場の生産を3週間停止するよう命じたときに、マスクは黙って従った。さらに、テスラは今年初めに、中国政府がイスラム系少数民族の収容所を抑圧していると非難されている中国の新疆ウイグル自治区にショールームをオープンした。

「イーロン・マスクは中国でもっと車を売りたいと考えている。仮に中国政府が、ウイグルや香港の人権活動家のツイッターアカウントを閉鎖するよう彼に圧力をかけたらどうなるのだろう?」と、Vice NewsのMelissa Chan記者はツイートした。

「世界一の金持ちのマスクは、中国がツイッターに圧力をかけ始めたら、『失せろ』と言えると思っているのかもしれない。しかし、そうなれば中国はテスラの上海工場を接収し、知的財産を没収するだろう」とChan記者は述べた。

編集=上田裕資

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