ただ、在位70周年を迎えたエリザベス女王が今年に入って公の場に姿を見せたのは、昨年亡くなった夫のフィリップ殿下の追悼礼拝に出席したときだけ。女王は昨年来、特に大切な行事であるとしてきた戦没者追悼式や、英連邦記念日の礼拝なども欠席している。
ほぼテレビ画面にごく短時間、写し出されるのみとなった女王の姿からは、常に変わらない聡明さの一方で、弱々しくなり、杖を使って歩くようになったことが明らかになっている。女王は4月21日、96歳の誕生日を迎えたところだ。
「プラチナ・ジュビリー」とは
欧州のどの国にも、プラチナ・ジュビリー(70周年記念)を祝った王室はない。今年が最初で最後の機会になる可能性もある。英国は君主制を含め、自国とあらゆる機関との関係についての見直しを進める中で、この記念の年を迎えた。
英国民の多くは、エリザベス女王を敬愛している。だが、君主制という制度に対する見方は、過去にそうであった以上に、より不透明になっている。女王の次男アンドルー王子と、性的目的で未成年の少女を人身取引した罪などで起訴され、勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタインの関係が取り沙汰されてきたことも関係がある。また、かつて植民地だった国々で、英連邦の加盟国という現在の立場を見直す動きが広がっていることもある。
各地で数々の記念行事
今年は特別に国民の祝日が設けられ、4連休となった6月2日から、女王に敬意を抱く英国民の多くは熱狂的にこのジュビリーイヤーを祝うだろう。ロンドン市民の多くは逆に、連休を利用してどこかへ休暇に出かけるかもしれない。
この連休中、2日には毎年恒例の女王誕生日のパレード、近衛兵1400人とメンバー400人からなる音楽隊による「トゥルーピング・ザ・カラー」が行われるほか、空軍の儀礼飛行も予定されている。