ビジネス

2022.04.29

Web3を牽引する「世界トップの投資家」クリス・ディクソンの夢

クリス・ディクソン(Photo by Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)


コインベース創業者との出会い


ディクソンはまず、フェイスブックが買収したオキュラス(Oculus)やドローン企業のSkydio、暗号通貨のリップル(Ripple)への投資を手がけた。そして、a16zの元パートナーのバラジ・スリニヴァサン(Balaji Srinivasan)が設立したマイニング企業21.coへの投資を通じて、コインベースの共同創業者でCEOのブライアン・アームストロングと面識を持った。

アームストロングによると、3人は2013年に4時間に及ぶミーティングを経て、暗号通貨の規制遵守について共通の認識に達したという。ディクソンはその年の12月に、コインベースのシリーズBを主導した。

その後の数年間、a16zは、コインベースの全ての調達ラウンドに参加し、ディクソンは、銀行などのパートナーの確保から、戦略の策定の支援まで、あらゆる面から会社の成長をサポートした。

2018年に暗号通貨に特化したファンドを立ち上げたa16zは現在、このスペースで、他のVCやコインベースのもう一人の共同創業者のフレッド・エルサムが設立したパラダイム(Paradigm)などの投資会社との競争に直面している。

しかし、ディクソンの暗号通貨業界に対する献身的な姿勢と、低迷期にもそれを貫こうとする意志は、傑出した存在感を放っている。ディクソンがシリーズAで支援した分散型取引所UniswapのCEOのヘイデン・アダムスは、ディクソンのおかげで資産運用大手のブラックロックとスナップから、トップクラスの人材を引き抜くことができたと述べている。

ダッパーラボのCEOのロハム・ガーレゴズルー(Roham Gharegozlou)は、NFTの台頭を予測したディクソンを高く評価している。ディクソンは、ダッパーラボが送り出したクリプトキティーズのNo.15を購入していた。「クリス(ディクソン)は、この業界が始まる前からそれを見ていた」と、ガーレゴズルーは話した。

ディクソンが望めば、a16zから独立して、自分の名前で数十億の資金を調達することも難しくはないだろう。しかし、今のところ、ディクソンは自分の看板を掲げることに興味はないと断言している。その代わりに、ディクソンとa16zは、最終的に暗号通貨ファンドを会社の本体に戻す意向だと、複数の関係者がフォーブスに語っている。この動きは非常に重要なものだが、a16zの広報担当者はコメントを控えた。
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翻訳・編集=上田裕資

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