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2022.04.28 08:30

営業の生産性を向上する「セールス・イネーブルメント」とは?

azrin_aziri / Shutterstock.com

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激しい企業間の競争のなかで、アメリカでは、数年前からバズワードになっている言葉がある。「セールス・イネーブルメント」(sales enablement)というものだ。

「イネーブルメント」とは、「効率化」とか「できるようになること」というような意味で、「セールス・イネーブルメント」とは、端的に言えば営業資料や営業ノウハウの展開、営業向けの学習プログラムの提供などを通じて「みんなが売れる営業になること」を意味する。

日本の営業職では、資料作成や情報収集などの商談準備に時間がかかってしまっており、顧客との商談そのものに充分な時間が割けていない。また、一人ひとりの営業担当が自分が作った資料や培ってきたノウハウを他の営業担当と共有できておらず、属人化してしまっている。営業部門では「背中を見て学べ」というマネジメントが横行し、学習プログラムの提供は後回しにされている。

これらの問題を「セールス・イネーブルメント」という概念を援用して、改善の方向へと向けようとしているのが、2年前にITサービス・スタートアップの「ナレッジワーク」を創業した麻野耕司だ。

麻野は、これまで一貫して日本企業の組織変革に力を注いできた。2016年には「リンクアンドモチベーション」で国内初の組織改善クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げた。多数の大手企業に導入され、国内HRTechの牽引役となった。

2020年に新しくスタートアップを立ち上げたのは、かねてから抱いていた問題意識から、組織ではなく「仕事」というもの自体を変革し、個人の能力向上や成果創出を実現することで企業の生産性向上に貢献できないかと考えたからだ。

麻野はこの4月20日に、「セールス・イネーブルメント」を生かした新しいクラウドサービス「ナレッジワーク」を正式にリリースした。麻野は言う。

「営業職は、個人の視点から見ると業務満足度が低く、企業の側からすると国際水準と比べて労働生産性が低い。つまり『イネーブルメント』が非常に必要な職種ということです」

いままでは、営業資料や営業ノウハウを展開するために最適なクラウドサービスがなかった。それだけでなく、営業資料や営業ノウハウの展開、営業向けの学習プログラムの提供、顧客とのミーティング管理などをバラバラのツールで進めることも多かった。

こうした営業活動の煩雑さが営業の生産性を阻害する背景にあった。

今回新しく正式にリリースしたクラウドサービス「ナレッジワーク」では、「セールス・イネーブルメント」に必要な営業資料やノウハウの展開、営業向けの学習プログラムの提供、顧客とのミーティング管理を1つのツールで実現することを可能にし、現場の利便性を高める仕様にしたという。すでにサイバーエージェント、マネーフォワードなど複数の大手企業・中堅企業の営業部門に導入されている。

長引くコロナ禍が社会経済活動に影響を与える一方、日本企業はDXの遅れをなかなか取り戻せないでいる。この状況を打開することができなければ、ますます営業職の、そして企業全体の生産性の向上は見込めないかもしれない。

(5月25日発売のForbes JAPANではツールによるイノベーションが起きて人材争奪戦も激化するセールスの最前線を特集します)

文=中田浩子

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