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2022.04.27 06:00

米医療保険大手カイザーパーマネンテが住宅開発に注力する理由

Getty Images


SDoHに取り組む重要性は、正確な分析によって明らかになっている。頼れる保育施設が利用できない患者、時間単位で賃金が支払われる職に就いている患者、常に使える移動手段を持たない患者、体に良い食料品を入手できる保証のない患者。こうした多くの患者にとって、医療は、とてつもない負担になりかねない。
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一般的には当たり前だと思われていること、例えば、かかりつけ医を継続的に受診するようなことすら、大きな重荷になる。ましてや、命に関わる際でも高価な医薬品を購入することは不可能だ。そんな状況に加えて、住居費が高すぎて手が届かないとなれば、問題はますますエスカレートしていく。食料、賃金、医療に不安があるばかりか、いまや住む家を確保できない不安定さも抱えることになる。

米国では、安定した住環境が手に入らない住居不安(housing insecurity)の問題が深刻化しており、多くの人が苦しい状況に追い込まれている。2022年3月24日付けロイター記事では記者のルシア・ミュティカニ(Lucia Mutikani)が、住宅価格が急騰し続けていると伝えている。「2022年2月の新築住宅価格の中央値は、前年比で10.7%上昇し、40万600ドルとなった。住宅価格は3年前と比べて31%も上昇している」

住宅価格の上昇を受けて、住居不安が起きている。とくに、賃貸住宅の家賃も上昇している大都市でそれが顕著だ。
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カイザー・パーマネンテは、こうした蔓延する難問のひとつの側面を解決するための一助となり、適切な投資を行って、地域コミュニティを改善させたいと考えている。安定した住環境の確保は、SDoHに包含されるひとつの要素にすぎない。しかし、人間の基本的要求を尊重するための、最も重大な要素のひとつであることは確かだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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