経済・社会

2022.04.26 06:00

ウクライナ国営郵便にサイバー攻撃 ロシア軍艦に「中指」の切手発売後

スネーク島事件を記念した郵便切手セット。黒海に沈んだばかりのロシア軍艦「モスクワ」を見つめるウクライナ国境兵士が描かれている。ウクライナ郵政公社は、ロシア軍による降伏勧告を無視した兵士に敬意を表し、切手セットを発行した。(Photo by Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images)

国営ウクライナ郵政サービスは4月22日、大量のデータを送りつけられる「DDoS攻撃」を受け、オンラインショップなど一部のシステムが一時的に利用できなくなったと明らかにした。同社はこれに先立ち、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」に向かって中指を突き立てるウクライナ兵が描かれた記念切手を発売していた。

ロイターによるとウクライナ郵政サービスは、インターネットプロバイダーと協力して復旧に努めていると説明している。疑われる攻撃元については言及していない。

同社は12日、ロシアのミサイル巡洋艦「モスクワ」を背景に、ウクライナの国境警備隊員が右手の中指を突き立てる絵柄の切手を売り出していた。ロシアがウクライナに侵攻した2月24日、黒海のズミイヌイ島(スネーク島)で警備していた部隊がロシア側からの降伏要求に対し、「ロシアの軍艦、くたばれ」と返答して拒否したエピソードが基になっている。

ロシアの侵略に対するウクライナの勇敢な抵抗を象徴するこの切手は大きな人気を集め、首都キーウの郵便局では数時間待ちの行列もできた。国外からもオンラインで500ドル(約6万4000円)あまりで購入されていた。

島を警備していた隊員13人は当初、殺害されたとみられていたが、その後、ロシア側の捕虜になっていたことが判明。一部は捕虜交換で解放されて帰国している。一方、「モスクワ」は今月沈没した。ロシア側は爆発事故が原因と主張しているが、米国防総省の高官らによるとウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」2発が命中した。

ウクライナでは先月、送電網がサイバー攻撃の標的にされたほか、国内最大の固定通信回線企業がサイバー攻撃でサービス停止に追い込まれた。これらの攻撃についてはウクライナはロシアによる犯行だと非難している。ロシア政府は関与を否定している。

編集=江戸伸禎

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