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2022.04.27

グローバルヘルスは、あらゆる企業が向き合うべき社会課題である

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund。以下、GHIT)は日本発の国際的な官民ファンドである。同ファンドが、グローバルヘルスの課題解決やSDGsの実現に向けてどのような役割を担い、活動しているのかを、ステークホルダーとの対話を通じて紹介する本連載。連載第5回目は、GHITとそのスポンサー企業が、自社のグローバルヘルス/SDGsへの取り組みについて対話する。そこから浮かび上がってきたのは、未来を担う企業のあるべき姿だった。


COVID-19によって加速したデジタルシフト。世界規模のパンデミックは奇しくも世界がひとつにつながっていることを再確認する機会となった。ニューノーマルの浸透は、GHITが取り組む医療・公衆衛生・ヘルスケアの現場だけでなく、日常生活や社会経済全体のあり方自体を大きく変化させている。

そうした状況下で喫緊の課題とされているのが、グローバルヘルス(地球規模の健康課題)だ。SDGsのアジェンダにも重要なマテリアルとして位置づけられるグローバルヘルスは、もはやヘルスケア業界だけの問題ではなく、持続可能な未来を描く企業体なら、必ず取り組まなくてはならない課題となっている。

今回はGHITの理念に共鳴し、スポンサー企業となった2社が登場。GHIT Fund HR & オフィスマネジメント(以下、森脇)が、2社とグローバルヘルスおよびSDGsとのかかわりについて聞いた。


森脇理陽 GHIT Fund HR & オフィスマネジメント

Zoomが実現するビデオコミュニケーションの民主化〜誰もが自然につながる世界を目指して


感染拡大と時期をほぼ同じくして、急速に広まった遠隔ビデオコミュ二ケーションツール「Zoom」。リモートワークという新たな働き方を実現する起爆剤として機能し、いまではビジネスや日々の生活に必要不可欠なツールとして、世界中の人々に認知されている。

その「Zoom」を提供する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの日本法人として、佐賀文宣(以下、佐賀)が社長となり2019年2月に設立したのがZVC JAPANだ。同社は22年2月、GHITの掲げるグローバルヘルスの課題解決、SDGsの実現という目標に深く共鳴し、スポンサーシッププログラムを締結した。


佐賀文宣 ZVC Japan 社長

森脇:Zoomの普及はCOVID-19の感染拡大と関係があるのでしょうか。

佐賀:それ以前から強いニーズを感じてはいました。場所・時間から解放されたリモートコミュニケーションがいずれは当たり前の社会が訪れるという認識はあったのです。

それがパンデミックの影響で加速しました。3年かかる変化がわずか半年で起こったという印象です。Zoomは地域間の距離の壁を取り払い、ウェビナーは会場と宿泊先の確保という作業から人々を解放しました。

森脇:GHITでも、パンデミック後に、製品開発パートナーが研究内容を発表する場など、複数のウェビナーを開催したのですが、世界中の方々とストレスなくつながることができました。

私たちは資金提供だけではなく、世界各国の製品開発パートナーと綿密にコミュニケーションし、製品開発を促進することを大きな役割として担っています。しかしコロナ禍で意思疎通が難しくなり、業務が円滑に進まない可能性が出ていました。

これでは患者に薬が届かない。私たちの目的である「低中所得者でも医療が受けられる社会を目指す」ことができなくなってしまう。Zoomはそうした状況を打破し、事業を進めていく可能性を大きく広げてくれたのです。

佐賀:そう言っていただけると嬉しいです。ただそうしたビジネス活用もよいのですが、ときどきオフィスワーカーだけのメリットになってしまってないかと疑問を感じるときもあります。

Zoomが標榜する「デリバリング・ハピネス」の対象はすべての人です。嵐がやってきて危険でも現場に向かう人がいて、工場、お店などで働くフロントラインワーカーもいます。そういう人々も気軽にビデオでつながり、安全に働ける社会を実現するのが、私たちの仕事だと考えています。

例えば長蛇の列となっている役所の窓口で、利用者が途方に暮れているとします。そんなとき、モニターが横に置いてあり、リモートワークの職員が写っていて、コンピューターの知識がない人でも、メールアドレスやID、パスワードなど一切不要で、画面に気軽に話しかけるだけで手続きが行えるとしたら、とても便利ではないでしょうか。こういう仕組みを、Zoomが縁の下の力持ちとなり、つくり出したいのです。

GHITは低中所得者でも医療が受けられる世界を目指していますが、私たちも知識や職種に関係なく、すべての人に自然なビデオコミュニケーションを提供したいと考えています。

私たちはそこに根本的な方向性の一致を感じ、スポンサーとなることを決めました。もともとSDGsに貢献したいという思いもあり、SDGの目標3「すべての人に健康と福祉を」にGHITを通じて貢献できるとも考えました。

森脇:使い始めた当時、Zoomの誰もが簡単に使えるハードルの低さに驚かされました。コンピューターが苦手な人でも扱いやすい。そのため、ITリテラシーが普及しにくい病院、施設などのヘルスケア領域でも、Zoom活用は広がっていますね。

佐賀:病院の診療・相談をオンラインで行うために活用されることが増えました。行政が運営する高齢者施設で、非接触で家族とコミュニケーションをとるために使われることも多いようです。

森脇:企業の組織運営に対するアプローチとしては、どのようなものがありますか。

佐賀:リアルとリモートの隔たりをなくすことに取り組んでいます。今後パンデミックが収束したとしても、すべてが元の通りのリアル一辺倒に戻るとは思えません。しかし会議室とリモート先ではどうしても温度感の隔たりが生まれてしまいます。

そこで私たちはどちらも平等な環境にするために、実際会議室にいる人々の顔をカメラに収め、画面上でリモートの人々と同じように並ぶ機能を実装しました。

森脇:平等にするために全員をいったんバーチャル空間に置いてしまう。なるほど、それなら平等に発言しやすくなるでしょう。そうした環境が普通になると、リモートワークの可能性も広がります。

GHITのHRは世界をターゲットに採用しているのですが、オンラインで働けるとなると、世界中から優秀な人材をスカウトすることができるようになります。時間や場所の制限が取り払われることは、これからの“働く”に非常に好影響を与えると思います。

佐賀:“働く”に様々な形で貢献できることを嬉しく思います。孤独で心を病んだり、不登校になってしまったり、さまざまな理由で精神的に学校・オフィスに行けなくなってしまう人も少なくありません。その場合でもZoomを介して学ぶ、働くことで活躍し、幸せな人生を送ることはできる。若い世代に伝えたいですね。

持続可能な企業体であるために必須のESG〜ディリジェントのソリューション


22年3月に、取締役会をサポートするガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)のソフトウェア世界最大手・ディリジェント・コーポレーション(以下、ディリジェント)がGHITとスポンサーシップを締結した。

彼らがいま取り組んでいるのが、上記GRCにESG要素を加えたソフトウェアソリューションだ。ディリジェントでアジア・パシフィック ディレクターを務める武本邦章が、ポストコロナの世界に持続する企業体の取締役会、組織運営のあり方について語った。


武本邦章 ディリジェント アジア・パシフィック ディレクター

武本:GRC向けのソリューションを通して、公平かつ持続可能なよりよい世界を構築するリーダーをサポートするのが、ディリジェントの使命です。

しかしリーダーは、CEOや取締役会に限られるものではないと私たちは考えます。経営判断に直接的・間接的に関係するすべてのステークホルダーがリーダーなのです。地球環境を考えれば、地球人すべてがリーダーと言ってもよいかもしれません。

ディリジェントは、欧米を中心に広く普及しているGRCのソフトウェアの開発・提供をしており、さらに現在は、現代で必須のESGの観点を取り入れたGRC+ESGソフトウェアを展開しています。

ガバナンスでつきものなのがリスク、コンプライアンスですが、近年は環境に配慮したESG要素が追加されました。その要因には、株主資本主義からステークホルダー資本主義への変化があります。日本でも「米国の気候変動リスクの開示を求める新ルール発表」のニュースが話題を集め、その流れは日本にも到達し始めているところです。

森脇:かつてリーマンショックなど世界経済を揺るがすインシデントがあり、企業の信頼性とは何かという議論が起こりました。現在はパンデミックにより、ビジネスの変化が取り沙汰されています。いったい何が起きているのでしょうか。

武本:まずリモートワークの定着や国内外の移動制限が、取締役会のオンラインシフトを加速させました。Zoomなどのコミュニケーションツールの発達も後押ししました。

ところがそれまでの紙を使い会議室で行う取締役会とは違い、社外取締役への情報提供を含めた課題が一気に顕在化しました。いままであまり考えられていなかった情報漏洩リスクなどを考えて、対策をとらなくてはならなくなったのです。その流れは、ディリジェントの展開する「取締役会ソフトウェア(ガバナンス・ソフトウェア)」の普及にも直結しました。

森脇:具体的には組織運営、ガバナンス面に、どのような変化が起こったのでしょうか。

武本:コロナ禍をベースに、ビジネス戦略、組織運営、オペレーションなどすべてを刷新しなくてはならない状況に陥ったのです。さらにオンライン化についていけない取締役会メンバーもいて、意思疎通が難しくなり、議論の質が下がりました。これでは到底正しい経営判断はできません。

さらに従来はすぐに会議室に集まって会議、決議して、経営判断を下部組織に落とすことができましたが、不慣れなオンライン化はそうしたスピード感まで奪ってしまいました。

森脇:ディリジェントは、それらの課題を解決するソフトウェアを提供しています。そこにESG要素はどう絡んでくるのでしょうか。

武本:グローバルではガバナンスと、それに付随するリスク・コンプライアンスは一体です。そこに、近年の環境(Environment)意識への高まりから、ESG観点もまた必須となりました。

さらに社会(Social)では格差拡大による不公平感の蔓延、メンタルヘルスケアへの課題感も高まっています。これらを考慮したうえでガバナンス(Governance)を考える必要が生じたのです。

私たちはステークホルダーをより広義に捉えています。顧客、従業員、取引先、取引先従業員およびその人権侵害の有無まで、目を配らなくてはいけない時代となりました。実に大きな変化だと思います。

ESGの普及は、グローバルでは驚くべきスピードで広がりました。ディリジェントのリサーチ部門によると、パンデミック前の20年3月以前では、47%の取締役会がESGを全く議論していませんでした。しかしパンデミック後の3月以降ではその数が16%にまで減少したのです。つまりESGを語ることがむしろ当たり前となったのです。

ではそうした時代に対して、ディリジェントは何ができるのか。その答えのひとつが、グローバルヘルスの課題に取り組み、SDGsを推進するGHITのスポンサーとなることだったのです。

GHITは、公益社団法人であり、国際的な官民ファンドという珍しい存在です。その理事会に弊社のソフトウェアを採用いただくとともに、リーダーシップチームとはガバナンスについて多くの意見交換をしてきました。その過程で、「公平かつ持続可能なよりよい世界を構築するリーダーをサポートする」という私たちの企業理念が、GHITのグローバルヘルスやSDGsの達成/ESGへの注力と、根幹のところで一致したと感じたのです。

新薬開発を促進し、低中所得者国に医薬品を届けることで、感染症の抑圧・撲滅、貧困による犯罪の防止、経済の活性化など、低中所得国の発展に連鎖的に繋がっていきます。ディリジェントは、GHITの手がけるアクションを、グローバル市民の一員として支援していきたいと考えています。

森脇:GHITは組織を運営する上で、ガバナンスがもっとも重要だと考えています。官・民・財団から頂く資金で成り立っていることや、利益を生まない公益社団法人なので、厳格なルールに則りながら資金を適切に管理する必要がありますし、コンプライアンスを考えたツールの導入も必須でした。

民間企業の取締役会にあたるGHITの理事会は、海外在住の方も多いのでオンライン会議はこれまでも少なくありませんでした。ディリジェントのツールにより、リアル開催と同じグレードで会議ができるようになったのは非常に喜ばしいことです。

武本:GHITのように、多様なステークホルダー、官民、人種、性別、立場が入り交じるダイバーシティを体現した組織は、徹底的にコミュニケーションをし尽くさなければ、決定を下すことはできないでしょう。GHITが解決しようとしているSDGsの課題は、ディリジェントにとっても最重要課題のひとつです。そしてグローバルヘルスの課題とESGは切り離せません。その両方に取り組むGHITをスポンサードすることは、ディリジェントにとってもたいへん意義深いのです。

森脇:未来を語るにあたって、若い世代が重要な役割を果たすと思います。パンデミックを経験した今、武本さんなら彼らにどんな言葉を贈りますか。

武本:不確実性の高い時代を生き抜くのは大変だと思います。しかし大きな変化は、いつの時代もチャンスなのです。むしろ自分自身を鍛えるチャンスとして捉えるべきではないでしょうか。

デジタルネイティブは情報があふれているので、すぐに結果を手に入れようとする傾向があります。しかしいまは人生100年時代。先は長いのです。成功や失敗を短期的に判断せず、その過程を楽しむことが大切だと思います。

グローバルヘルスの向こうにビジネスの未来がある


すべての企業は、グローバルヘルスおよびSDGsに着目すべきだとGHITは考える。なぜならそれが、持続可能な企業体であり続ける唯一の方法だからだ。

国境を超えた地球規模の健康課題としてのSDGsと、そこに内包される感染症対策を含むグローバルヘルスは企業にとっても他人事ではない。GHITは医療、公衆衛生の立場からソリューションを構築し、ZVC JAPANはZoomを通じて、世界中の人々が平等にコミュニケーションができる環境を生み出そうとしている。ディリジェントは、企業の最高意志決定機関に対して、ESG視点の導入をサポートするソフトウェアを提供するというかたちをとった。

さらに2社とも、より直接的にグローバルヘルスに貢献するGHITのスポンサーになることで、人々が健康で、安心・安全に働き、暮らす社会の到来を支援し続けている。なぜなら彼らは、ポストコロナの世界では、健全な社会を担保せずに企業の成長はあり得ないと、知っているからだ。


森脇理陽(もりわき・あやはる)◎専修大学商学部卒。シャープで経理・マネジメント業務に携わる傍ら、NPO法人との協同CSRプログラムに参加、小学校環境教育の講師を6年務める。2015年GHIT入社。経理を中心にHR、法務、内部統制、コンプライアンスを担当後。現在はCOOと組織づくりに従事。クラシック・ロックを、こよなく愛する。

佐賀文宣(さが・ふみのぶ)◎92年北海道大学工学部卒。日本アイ・ビー・エムにてThinkPadの開発やプロダクトマーケティングやパートナーセールスに携わった後、2019年2月に米Zoom Video Communicationsの日本法人を設立、社長に就任。北海道生まれのウィークエンドゴルファー、シーズンに数回ニセコを訪れるスキーヤーでもある。

武本邦章(たけもと・くにあき)◎同志社大学法学部卒業。外資系金融機関、リスクコンサルティングファーム、シンガポール本社の福利厚生SaaSスタートアップ会社を経て2020年9月にディリジェントシンガポールオフィスに参画、ディリジェント アジア・パシフィック ディレクターに就任。プライベートでは、自分で作ったイタリアン料理を、ワインと一緒に楽しむ。

Promoted by 公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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