過去最長の「不健康寿命」に直面する私たちが取り組むべきこととは

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平均寿命は延びていますが、その一方で、不健康な状態で過ごす時間も長くなっています。世界経済フォーラム(WEF)のアジェンダからご紹介します。


・平均寿命は延びていますが、その一方で、不健康な状態で過ごす時間も長くなっています。
・マッキンゼー・ヘルス・インスティテュートの新たな研究によれば、この状況は私たちの手で変えられるのです。
・医学の進歩や生活習慣の改善が実現すれば、私たちはさらに6年長く、質の高い生活を送ることができます。

平均寿命の伸長が悪いこととして語られるケースは稀ですが、不健康な状態で過ごす年月が伸びているとすれば、果たしてそれは喜ばしいことなのでしょうか。

今回、マッキンゼー・ヘルス・インスティテュート(MHI)の新たなレポートで明らかとなったのは、「私たちは今、史上最も長い年月を不健康な状態で過ごしている」という現状です。しかし同時に、同レポートは、この状況は私たちの手で変えられるとしています。

医療技術がさらに普及し、健康的なライフスタイルを実現することができれば、私たちはさらに6年、質の高い人生を楽しむことができます。しかし、そのためには、変化を受け入れる姿勢が必要です。

世界の平均寿命は1800年から2017年にかけて30歳から73歳へと2倍以上に伸びていますが、同レポートによると、健康状態が悪いか、中程度のレベルで人生の半分を過ごしているという状況は変わっていません。

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平均寿命は延びていますが、健康状態が悪いか、中程度のレベルで人生の半分を過ごしているという状況は変わっていません。イメージ:McKinsey Health Institute

同レポートはさらに、「低所得国と高所得国の間では平均寿命に18年の差があり、最低平均寿命と最高平均寿命の間には30年もの差がある」とし、健康格差は依然として大きな問題であることを指摘しています。

低所得国の妊産婦死亡率は、高所得国の最大100倍。また、先進国では小児がん患者の生存率が80%であるのに対し、低所得国では30%にも満たないのです。

パンデミックからの教訓


しかし、新型コロナウイルス感染拡大の中で見られた、急速な医療革新と人々が行動を変えようとする意思に注目し、私たちにはより長く健康的に生きるために必要な変化をすぐに起こす力があるとも、報告しています。

「新型コロナウイルス感染拡大が、人類をかつてないスピードとスケールで動かした」ことを根拠とし、「この成功は完璧にはほど遠いが、可能性があることに挑戦する勇気を与えてくれるはずだ」と強調。

MHIはさらに、「健康とは何か」を根本的に考え直す必要があると主張しています。単に病気を患っていないことを健康とするという従来の定義は、もはや人々の願いや最新の科学的研究とは合致しません。

同レポートは、70年以上前の考え方に立ち返ることを薦めています。1948年世界保健機関(WHO)の設立規約では、「健康」を「身体的、精神的、社会的にウェルビーイング(幸福)な状態であり、単に病気を患っていない、または病弱でないことを指すものではない」と定義しました。

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「健康」には、身体的な状態だけでなく、精神的、社会的、スピリチュアルなものも含まれます。イメージ:McKinsey Health Institute

一方、MHIは健康を「相互に関連性と依存性がある身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな状態からなるもの」として定義し、こうした考え方が、より健康的な生活への新しいアプローチの基盤となるべきだとしています。
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文=Douglas Broom, Senior Writer, Formative Content

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