そうしたアイデアや秘訣は、一時的にはキャリアに役立つかもしれない。しかし、キャリアアップに最も重要なのは、ほとんどの人が明らかに平凡だと考えるであろう特性だ。つまり、「明快さ(Clarity)」、「一貫性(consistency)」、「専門性(discipline)」の3つだ。
私はこの3つをまとめて「三大パワー」と呼んでいる。このいかにも平凡な3つのパワーがまとまると、コミュニケーション力が上り、ソートリーダーとしての実力がつき、パーソナルブランドに磨きがかかり、キャリアアップが加速するからだ。以下では、この3つの特性を重視すべき理由を説明していこう。
1.明快さ
熱意はあるのに空回りしてばかりで、キャリアがなかなか先に進まないのなら、「明快さ」に欠けているのかもしれない。
明快であるとは、焦点を絞るということだ。世界は混沌としており、次から次へと邪魔が入って、注意力が散漫になる。そんな状況だからこそ、焦点を絞ることは、かつてないくらいに重要だ。
自分が何をすべきか、何を目指しているのかが明快であれば、何をするのもラクになるはずだ。
人々が、自分という人間を理解できるようになり、何を提供し、それにはどのくらいの価値があるのか。他の人にはない特徴は何か。どう役に立てるのか。逆に、どんな助けを必要としているのか。そうしたことをわかってもらえるようになる。明快なら、理解されやすくなる。好感を抱いてもらえるし、信頼もしてもらえる。
目指していることが明快であれば、その目標と達成に向けたプランが一致するので、予定を狂わせるような事柄を遠ざけておくこともできる。決断を下すときは、集中すべきことと目的がうまくかみ合うよう、意識しなくてはならない。
明快であるためには、具体性が求められる。どっちつかずの態度をとったり、曖昧な意見を口にしたりする余地はない。何かを「漠然と」望んでいるようでは、進歩はできない。いちばん大事だと思えることに、できる限り焦点を絞ろう。
2.一貫性
ゆっくりと着実に歩む人こそ、最後には勝利を収めると言われているのには理由がある。
どのようなことであれ、毎日努力を重ね、存在感を発揮し続けようと意志する人が、最後には勝つ。
それはシンプルな行為ではあるが、決して簡単ではない。そのため、実行に移す人はほとんどいない。だからこそ、優位に立てるわけだ。
やる気が出ないときでも、失敗したときでも、負けずにやり抜く。すべてが順調で、永遠にその状態が続くと思えるようなときでも、ひたすら続ける。そうした姿勢が、真剣さと責任の証しとなり、言行が一致した人間だという評判の獲得につながって、信頼が育まれていく。
一貫性とは長期間にわたって続けることであり、それにより知名度も上がっていく。自らの才能に合った行動、自分の才能を示す行動を、毎日少しずつ、欠かさず実践していこう。そのようにして自分の実力を最大限に活用することが、パーソナルブランドを構築する最良の方法だ。