統制運動:肩・腕・体幹を鍛える
12番目の「統制運動」は、なかなかダイナミックな動きだ。この体操では、肩や腕、体幹が鍛えられる。脚が十分に開かれていないと、上半身が真っ直ぐ保てなかったり、脚のステップがスムーズに行えなかったりして、この写真のようにビシッと決まらないという。
実際にイベントなどの際に自衛隊によってこの体操が披露され、何百人もの隊員が息もピッタリにポーズをとると、観客からは一際大きな歓声があがるのだそうだ。
自分に合った体操プランを組み立てて、無理なく始めよう
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自衛隊体操は、5分で全21の動きを行うことができるが、5分だとしてもハードルが高い、1日のうちにどの時間帯で行えば良いかわからない……という人もいるかもしれない。
その結果、三日坊主で終わってしまい、継続できないのは残念だ。自衛隊体操の効果を実感したいなら、とにかく「継続」することが大事。公式ブックには誰でも生活に取り入れられるよう、4つの体操パターンも紹介されている。
起きたばかりで身体が動きにくい朝は、身体を目覚めさせる「ショートバージョン」(2分50秒)。デスクワークなどで疲れが溜まってきた夕方は身体を伸ばす体操を中心にした「ストレッチバージョン」(2分15秒)。夕食前には体型管理に適した動きで構成した「シェイプアップバージョン」(3分10秒)。そして時間に余裕のある土日などの休日には「フルバージョン」(5分)を。
毎日フルで21の体操をしなくても一定の効果が得られると思えば、ハードルはだいぶ低くなるのではないだろうか。
自衛隊体操の効果を最大限にするには、この「継続」のための工夫と、冒頭で述べた基本運動の精度を上げることが必要になる。
誰もが知っているラジオ体操も、身体を正しく動かさないと効果が半減することが知られている。同様に自衛隊体操も「振る」「上げる」「回す」「捻る」「倒す」「屈伸する」「跳躍する」の7つの動きを正しく実践してこそ、効果が得られる。
公式ブックは、DVD付きでフルバージョンのほか、上記のオリジナルバージョンも収録されているので、教官によるポイント解説も参考にしながら無理なく自分のペースで始めてみてはいかがだろうか。
自衛隊体操は、200年前に生まれたスウェーデン体操をルーツに持ち、1952年頃に「5分でできる合理的な全身運動」として考案されて以来、自衛隊の各駐屯地で受け継がれてきたという。
今回説明した効果のほかに、身体を動かすことによって安眠が促進され、自律神経が安定しイライラや不安の解消などにも繋がるため、メンタルにも良い影響を及ぼす。そんな効果も、過酷な条件で活動することも多い自衛隊ならではの体操と言えそうだ。