それは「自衛隊体操」と呼ばれ、陸上自衛隊と航空自衛隊の各部隊で、朝礼前や朝礼後などに準備体操として行われている。
さぞかしキツイ体操かと思えば、「ラジオ体操以上、ウエイトトレーニング未満」の運動強度だという。どんな体操なのか、紹介しよう。
「ラジオ体操以上ウエイトトレーニング未満」と言われる理由
自衛隊体操は、身体を振る・回す・捻る・倒す・跳ぶといった基本運動が合理的に組み合わされ、それぞれ独立した21種類の運動から構成されている。
最大の特色は、手足を伸ばせるスペースさえあれば、特別な器具なども必要なく、身体ひとつで誰にでもすぐ取り組めること。しかも、21種類すべての運動をするのに要するのはたったの5分というのだから、本当に効果があるのだろうか? と疑問に思う方もいるかもしれない。
しかし、この自衛隊体操の初の公式ブックとなる『DVD付き たった5分で凄い効果 自衛隊体操 公式ガイド』(講談社刊、自衛隊体育学校監修/陸上自衛隊協力)によれば、実際に体験した一般の人々の運動強度は52%。これは、「ややきつい」から「きつい」の間程度で、有酸素運動の効果が得られ、脂肪燃焼と体重減量が期待できる数値だそうだ。
また、安静時の代謝の何倍かを示す単位METs(メッツ)は5.5で、消費カロリーは平均31kcal。これらの数値から、ラジオ体操以上、ウエイトトレーニング未満の負荷であるとされている。
同ガイドには、20~40代男女が3週間、毎日自衛隊体操を行った結果が紹介されている。体重が減った、お腹が凹んだ、ヒップアップしたなどのほか、腰痛や四十肩、便秘が改善したという感想もある。
全21種類の動きで、無理なく無駄なく体力作り
自衛隊体操は、1番目の「その場駆け足」に始まって、最後の「深呼吸」まで全21種類の動きで構成されているが、各動きの最後には「つなぎ」と呼ばれる姿勢があって、次の運動にスムーズに移行できるようになっている。
腕回旋膝半屈:肩こりにもオススメ
この3番目の「腕回旋膝半屈」は、ラジオ体操にも似たような動きがある。一見、腕を回しながら膝を曲げ伸ばすという簡単な動きのようにも思えるが、体操として相応の効果を期待するなら、「極限」まで行うことが重要だとガイドブックでは解説されている。
「腕が下に来たら大腿部全面を擦るように、上にきたら鼻柱を擦るように大きく回旋させることで、肩甲骨周辺の僧帽筋や広背筋にしっかりと効かせていく」。そうすると「血行が促され、肩こりの改善にもつながる」のだそうだ。
胸の運動:デスクワークで疲れたら
7番目の「胸の運動」は、デスクワークでパソコンなどに向かう時間が長い人には、特におすすめの運動と言える。猫背を改善し、加齢による胸筋のたるみなどにも効果的。
がっしりとした体格を目指したい男性には、大胸筋をストレッチすることで胸回りの筋肉をつきやすくするという嬉しいメリットも。