スポーツカーには飽きがこない。自分の好きなモデルを選べと言われたら、1961年のジャガーEタイプだとか、65年のディーノ206GTだとか、74年のランボルギーニ・クンタッチだとか、いろいろ挙がるだろう。でも、これが完成形という終着点がない。そこが面白いところだ。
英国のマクラーレン・オートモーティブが2020年に発表したマクラーレン765LTスパイダーに接して、スポーツカーはあらたな魅力を私(たち)に与えてくれるのだという、うれしい驚きがあった。
765LTは、車名にあるとおり765ps(563kW)と、驚くほど高出力の4リッターV型8気筒エンジンをミドシップした、後輪駆動の2座スポーツカー。スタイリング的には、雨滴や鳥の羽根など自然界がつくる美を参考にしたという有機的なフォルムをもつ720Sシリーズの流れをくんだもの。ただしこちらは720馬力にとどまる(それでも十分パワフル)。
一方、LTとはロングテールの略で、マクラーレンの製品のなかでは、よりレーシー(レースカー的)なモデルに使われるサブネーム。ポルシェでいうと、911GT3に対するGT3 RSに相当するモデルといえばいいだろうか。
炭素繊維でつくられた軽量シャシーとボディ、剛性の高いエンジンマウント、速いステアリングレート、高剛性のトーションバーを備えた電動油圧式ステアリングなどを搭載している765LT。曲がるのも、加速するのも、止まるのも、うんと速いのが特長だ。2019年発表の「マクラーレン・セナ」で開発した技術も採用されている。
クーペと並行して販売されるスパイダーは、ルーフの一部が電動で開く。一部といっても、車内にいるとまるでフルオープンに乗っているぐらい開放感がある。そこも設計がうまい。クルマ好きにとって究極的なよさが詰まった765LTスパイダー。スポーツカーの楽しさを堪能させてくれるだろう。
McLAREN 765LT Spider
ボディ外寸|全長×全幅×全高=4600×2161×1192mm
車両重量|1278kg
駆動形式|MR
最高出力|765PS / 7500rpm
価格|49500000円
問い合わせ|https://cars.mclaren.com/jp-ja