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2022.04.28

“物理的な近さ=意識の近さ”ではない。凸版印刷 デジタルイノベーション本部が導入したコミュニケーション・ツールSlackの実力とは

120年を越える歴史をもつ印刷テクノロジーをベースに、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3つの分野で事業を展開する凸版印刷。同社ではいま、2025年の未来に向けてさまざまなDX戦略が進行中だ。そのなかで社内コミュニケーションの円滑化と働き方改革のための取り組みのひとつとして導入したのが、ビジネス向けメッセージプラットフォーム・Slackだ。その狙いについて、凸版印刷 デジタルイノベーション本部企画部 企画チーム 部長の岩崎直人と、同企画チームの山下恵理子に聞いた。


世界的な事業環境の変化を受け、凸版印刷が大胆なDX戦略に乗り出した。基本方針は“Digital & Sustainable Transformation”だ。来るべき25年の未来に向けて事業ポートフォリオを刷新し、業務全体のデジタル化とDX事業で営業利益30%を目指すという。

そうしたなかで、デジタル時代にテクノロジーの力で自らイノベーションを起こしていくために、19年に新設されたのがデジタルイノベーション本部だ。彼らはDX時代ならではの働き方改革の必要性を感じ、そのための実験の一環としてコミュニケーション・ツール「Slack」を導入した。デジタルイノベーション本部 企画部 企画チーム 部長の岩崎直人(以下、岩崎)と、同企画チームの山下恵理子(以下、山下)に、その狙いを聞いた。

古きよき時代のオフィス環境・文化をリセットするために


「デジタル化と言っても、その中心にあるのは人です。そこでデジタルイノベーション本部が注目したのが、新たな時代の働き方です。当初はコロナ禍以前だったこともあり、社員がストレスなく働けるようにオフィス環境を整備するなどの、心理的安全性を主目的にしていました。ファシリティ以外の施策も組織のフラット化のために役職名で呼ばないことや、スーツを脱いで武装解除(私服でOK)という穏やかな変革が中心でした」(岩崎)

しかし、業務を推進するなかで岩崎と山下はある疑問に突き当たったという。

「設備や備品などのモノを入れ替えるだけで、文化は変わるのだろうか。オフィスという概念自体を更新しなければ、何も変わらないのではないかと、思い至ったのです」(岩崎)



当時はまだ世間はコロナ禍に陥っていなかった。しかし超高齢化社会による生産年齢人口の減少、介護や子育てなどによるライフステージの変化などから、従来のオフィス構造・文化では近い将来、致命的な人手不足になることは明白だった。もはやデジタルシフトによるソリューションを生み出さなければ、企業は持続的に存在することが不可能になる。さらに世界的な環境意識の高まりやグローバル化の波などの波及も無視できない。岩崎はそうした予見から、デジタルイノベーション本部の組織変革を再定義した。それがレイヤーごとに改革を分割した4段構造の「パフォーマンス・ピラミッド」である。



デジタルイノベーション本部の組織変革を再定義した「パフォーマンス・ピラミッド」

「組織能力向上のための第1階層は「ベース層」。本部の理念の設定・浸透、人材スキル開発などがここに当てはまります。

第2階層は「ワークプレース層」。クラウドネイティブなバーチャルオフィスの構築、リアルオフィスの改善です。Slackを含む大半のデジタルツールの導入もここに含まれます。

第3階層は「ワークスタイル層」。人とワークプレイスを重ね合わせてどう働くかを検討する段階で、モバイルネイティブの働き方も含まれます。

それらの頂点に位置する第4階層の「パフォーマンス」は、組織と個人のゴールが一致する改革の到達点です。これにより私たちは、最高の事業パフォーマンスを生み出せる存在になるでしょう」(岩崎)

岩崎と山下は、変革第1段階で大量の書類のデータ化を進めつつ、ワークプレース層と、そこから生まれるワークスタイル層変革を視野に入れて、業務を進めたという。

「クラウド上にバーチャルオフィス空間を構築し、どこでも誰とでも働ける環境を整備することで、ワーカーは物理的・時間的制約から解放されます。それにより自由な勤務時間の選択が可能となり、介護や子育てで業務を断念していた人々に働く機会を与え、将来の人材不足を解消することができます」(岩崎)

ところが本格的なデジタルシフトへのプロジェクトを開始し始めた20年、社会はコロナウイルスの感染拡大に見舞われた。それにより非接触での業務を実現するためのデジタルシフトが全業界で急務となった。

「少しずつのデジタル化をもくろんでいたのですが、そうした悠長な話ではなくなり、さまざまな試験段階を省略して、一気に実地に踏み切らなくてはならなくなったのです」(岩崎)

Slackを中枢に組織構造を再編する


時間や場所に縛られない自由なオフィス環境を実現するため、岩崎が考えたのは、コミュニケーション・ツールの導入だった。クラウドを中心にコミュニケーションがとれれば、働き方は変えられると考えたのだ。

さまざまなツールを検討し、Slackの一部導入を決定した。その経緯を山下が説明する。

「3カ月の間、本部の一部の部署で、トライアルをしました。そのなかで、全国に散らばるメンバーとオープンな環境を構築しやすい、絵文字も使えるカジュアルコミュニケーションが可能、将来的にあらゆるシステムやツールと連携できる拡張性があるといった利点を実感し、Slack導入を決定しました」



Slackは参加者全員が利用する共通のワークスペースのもと、テーマや部署などのチャンネル別に分かれてメッセージをやりとりできるプラットフォームだ。そこからあらゆるアプリを使用し、さまざまな情報に触れることもできる。岩崎と山下が考えた理想のオフィスのあり方は、奇しくも現在Slack Japanが提唱している「Digital HQ」(デジタル・エイチキュー/クラウド・デジタル上の本社機能)の考え方とよく似ている。

「Digital HQ」とは、クラウド上にSlackを中心としたバーチャルオフィスを構築し、社員同士のコミュニケーションの中枢として機能させることができる仕組みである。Slack JapanはDigital HQで実現できる3つのピラー(柱)を定義している。以下にデジタルイノベーション本部の事例とともに説明していこう。

1:組織の壁を越えた協業を促進

「従来のメールベースのコミュニケーションは、リアルタイムではなく、オープン性もないという特徴がありました。事前に相手と相手のアドレスも知らなければ送ることができませんでした。

その点Slackはオープンなチャンネル上で、誰もが質問を投稿して、質問に答えられる然るべき人が回答するという構造です。いままで付き合いがあったかどうかも関係なく、敷居なくサポートすることができます。

そうしたコミュニケーションが文化的にデジタルイノベーション本部内部に浸透したこともあり、質問を投稿することに対する社員の心理的な壁がなくなりました。結果として部門間の壁を取り払ったスピーディーなコミュニケーションによる解決が可能になりました。さらにそうした情報交換によって、ナレッジの共有も飛躍的に進みました。

これはリアルオフィスやメールではできなかったことです」(山下)

Slackの普及においては、幹部層のメッセージに直接触れることのできる「Slack限定つぶやきチャンネル」などの施策も効果的だったという。さらにもうひとつ、サードパーティー製のツール「コラ」の活用も普及に一役買った。





質問や上層部の呟きなど、「Colla(コラ)」の活用事例


「このツールを使うと、定期的に参加者全員に質問がメンションされます。そしてお昼にその回答は全体チャンネルに流れ、全員が結果を目にすることができるのです。

よくリモートなどのデジタル環境では、雑談や偶発的な会話ができないというデメリットが語られますが、ここでは回答に対するアクションがきっかけで、地方支社と本社など、場所に限定されないコミュニケーションも生まれてきています。この関係性はリアルの世界ではなかなか生じにくいものです。

また時間に関しても自由度が高まりました。ミーティングにリアルタイムで参加できなかった人も、チャンネルで議事録を確認できるので、内容を同期しやすいのです」(山下)

2:働く場所や時間をもっと柔軟に

現在Slackを導入しているデジタルイノベーション本部には全国数十の拠点があり、数百名が、全国各地でそれぞれ異なる業務を行っている。そのため、お互いに状況把握がしにくいことが課題だったという。

「チームごとの暗黙知(ローカルルール)も多く、連携もなかなか難しい。そんな状態を突破してくれたのが、Slackの導入です。オープンな場に集まることができるようになり、お互いのチームが何をしているかを把握できるようになり、めったに会わない人でも簡単にコミュニケーションがとれるようになりました。まるで組織の壁、部署の壁がすべて取り払われたような、そんな印象です」(山下)

その導入の効果は目覚ましく、アクティブ率も80%を超えたという。

「ササッと音声コミュニケーションに切り替えられるのも便利ですね。結果をチャットに書き込めば、その場にいなかった人への共有にもなります。いまではSlackなしで仕事をすることが想像できないくらいです」(岩崎)

現在、リモートワークが定着したデジタルイノベーション本部の出勤率は、わずか3割にまで圧縮されているという。

3:業務の自動化で生産性アップ

さらに利用を開始したのが「Incoming webhook」という機能。これは外部ソースからの情報を、簡単にワークスペースで共有できる仕組みだ。

「徐々に始めている段階ですが、情報を一箇所に集めるなど、効率化、集約化に役立てているところです。また何らかの申請があったときに、誰にどういう内容を飛ばせばよいかなどのフローを自動化しています。ワークフロービルダーは現状、承認フローの自動化に活用中です」

デジタルイノベーション本部が示すベストプラクティス


Slackの導入は、社内にどのような意識変革を起こしたのだろうか。

「リモートワークでのコミュニケーションなどに問題意識をもつ部門・人員が増えてきている感触はありますね。そうした人々が存在する部署から、徐々に展開し、取り組みを全社へと浸透させていければと考えています。

そのためにもまず私たちがベストプラクティスを見せていかなければなりません」(岩崎)

では、全社で展開するための課題はどのようなところにあるのだろうか。

「何よりも大変なのは、組織の雰囲気・固定観念を崩すことです。リアルの場でも、イベントを開催しても参加しない人はいます。出社して同じ空間にいるからといって、同じ気持ちになれるわけでもありません。

実際にこのプロジェクトを始めてみて、“物理的な近さ=意識の近さ”ではないということに気づきました。だとしたらバーチャル空間で意識を近づけることも、結局は同じ苦労だと悟ったのです」(山下)

「この流れが不可逆であることは間違いありません。どれだけ早く全社の意識をひとつにできるかということだと思っています」(岩崎)

最後に岩崎は自分たちのアクションがロールモデルとなり、会社全体を盛り上げたいと決意を語った。

「リアルに比べて文字コミュニケーションは制約だと感じる人もいます。しかし一度テキストになれば、それは検索が可能になります。私たちの発言そのものが知の集積、ビッグデータになる可能性もある。そのデータをもとに人間関係自体をグラフィカルに表現し、さらなる施策へつなげることだって可能でしょう。

こうした私たちデジタルイノベーション本部のベストプラクティスがもとになって全社に拡大し、業界の垣根を越えて、社会全体に影響を与えられたらと思います。同じ課題を抱えている企業は他にもたくさんいるはずですから」(岩崎)



DIgital HQ
https://slack-japan.jp/digital-hq/s/

岩崎 直人◎凸版印刷 デジタルイノベーション本部 テクニカルセンター フューチャーラボ部 部長兼企画部 企画チーム チームリーダー。同社入社後アプリ開発を皮切りに、基幹系システムでのハードウェア設計/データベース構築、IT-BCPにおけるスタンバイデータセンター構築、グループ向けプライベートハイブリッドクラウド構築等、フロントからバックエンドまでのテクノロジーに携わる。

山下 恵理子◎凸版印刷 デジタルイノベーション本部 企画部 企画チームメンバー。同社入社後は基幹系システムのアプリ開発に従事。2019年より同本部内の働き方改革プロジェクトに参画し、本部のオフィス刷新やパフォーマンス向上に向けた取り組みに携わる。

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#1 公開中|Slackで情報をオープン化、SOMPOシステムイノベーションズが推進する“会議革命”と業務の自動化
#2 本記事|“物理的な近さ=意識の近さ”ではない。凸版印刷 デジタルイノベーション本部が導入したコミュニケーション・ツールSlackの実力とは
#3 公開中|オープンコミュニケーションで“情報格差”を解消。Slackを中枢に据えたLIFULLのコミュニケーション改革

Promoted by Slack Japan / text by 清水りょういち / photographs by 三木匡宏 / edit by 高城昭夫

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