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2022.04.27 12:30

有名企業が取り組むプラ新法。デジタル包装? その工夫とは

プラスチックの資源循環を実現するためには、サプライチェーンの上流である製品の設計・製造の段階からのアプローチが不可欠だ。

このため、2022年4月に施行された通称「プラスチック新法」(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)では、製造事業者などが努めるべき環境配慮設計に関する指針として「プラスチック使用製品設計指針」を策定、同指針に沿った製品で特に優れた設計を主務大臣が認定する仕組みを設けることになった。

同指針には、プラスチックの減量化や単一素材化、代替素材の使用や石油由来のバージンプラスチックではない素材の利用といった、プラ製品の構造や材料の変更で取り組むべき内容が列挙されている。従来より、またはこれを受け、各社であるいは業界内外での連携を通じて取り組みを強化しつつある。

構造:減量化、再使用・再資源化のしやすさ


まず、構造については設計段階から以下の項目に配慮して製品化を行うべきとしている。バージンプラ素材の絶対的な使用削減とともに、後のリサイクルがしやすくなるような配慮が求められている。


プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」 について:経済産業省・環境省資料より

菓子大手のロッテは、キシリトールガムファミリーボトルの容器でのプラスチック重量を従来品よりも21.8%減量。キャップの開封性を改善させる構造変更とともに評価され、日本包装技術協会が主催する「2021日本パッケージングコンテスト」で「アクセシブルデザイン包装賞」を受賞した。

容器包装のプラ減量化は、製品の効率的な積載による物流効率の向上と相まって、輸送時の温室効果ガスの排出量削減にもつながる。地道な取り組みだが、着実な波及効果を得られる取り組みとも言える。

減量化や包装の簡素化といった比較的着手しやすい項目がある一方で、その他については中長期にわたる研究開発やプラットフォーム構築を伴うものも多く、各社ともに数年前から始めた取り組みが今、動き始めている。

長期使用、長寿命化による使用量削減


スターバックス・ジャパンが販売している繰り返し使用可能なプラスチック製軽量カップ「リユーザブルカップ」は、3回以上繰り返し使えば紙カップ生産時に発生する環境負荷を下回るとしており、製品の長期使用・長寿命化の一つの例と言えそうだ。

また、2019年に策定したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」でプラスチックの削減と循環に取り組む花王は、詰め替え容器入りのシャンプーなどを本体ボトルに移さずにそのまま差し込んで使えるスマートフォルダーをすでに販売しており、本体ボトルのプラスチック使用量の一層の削減を図っている。

なお、こうした製品がプラスチック使用製品設計指針に基づく設計認定を受けられるかどうかを決める基準については、製品分野ごとに今後定められる。

単一素材化でリサイクル促進


印刷会社各社では、包装材を中心にリサイクル促進のカギを握る単一素材化に取り組んでいる。このうちDNPのモノマテリアル包材は、独自のコンバーティング技術を活かしてポリエチレンまたはポリプロピレンのモノマテリアル化を実現。欧州の軟包装業界におけるサーキュラーエコノミー推進コンソーシアムであるCEFLEX(A Circular Economy For Flexible Packaging)のガイドラインに準拠した設計が可能としており、ユニリーバの紅茶ブランド「リプトン」の一部製品でも採用されている。
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文=木村 麻紀

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