謝罪はチャンス。青木さやかを「前向き」に変えた8つのルール

青木さやか (撮影=小田駿一)


そんな確執しかない母と向き合おうと思ったのは、父との死別もきっかけの1つでした。父とは口論の仲直りをしないままの最期になってしまったので、自分の中で後悔が残っていたんです。

動物愛護の友人・武司さんに言われた言葉も大きかったですね。「どんな親でも親は親」「親孝行は道理」「親と仲良くすると自分が楽になる」。そんな言葉を聞いて、母との仲直りで何かが変わるかもしれないと重い重い腰を上げました。

介護らしい介護はできませんでしたが、愛知にあるホスピスには何度も足を運びました。最初は娘を盾にして母と会話していたのですが、これではよくないと思い直して、やがて1人で通うことにしたんです。



ある時、病室で「いい子じゃなくてごめんね」と謝った私に、母は「あなたは誰よりも優しいでしょう」と言いました。自分が変わると、相手が変わる、ということもあるのかも知れないし、母もまた、私とのいい最期を希望してくれたのかも知れません。

自分が抱えていた憎しみや確執は不思議と少しずつ減っていき、母を看取ることができた。そう身をもって理解できたことで、母以外の人との関係にも希望が持てるようになったんです。丁寧に時間をかければ、どんな問題だって乗り越えられるのかもしれないと、大いに希望をもって人と関わるようになりました。

「自分が好きな自分」に変わるためのルール


母を看送ってから、なりたい自分になるために180度自分を変えようと努力しています。少しして私自身が肺がんになったことも大きかったですね。幸いにして寛解したものの、「生きている間にすべてのことを全力でやろう」と腹をくくれたんだと思います。

かつては、嫉妬心や憎しみをモチベーションにしていたのですが、それはやめました。母の死を機に、その「憎しみ」を「愛」に置き換えていってみようかなと。そんなことやったこともなかったんですが、やってみようかなと思えたんですね。

私は若い頃、ギャンブルを楽しむというよりギャンブルに逃げていました。消費者金融さんで首が回らないほど借金もしましたし、本当に自分に甘い人間だと思ってます。ひとつ「やましさ」を抱えると、次から次へと嘘を塗り重ねていってしまう。自信がないから他人に何か言われればすぐ傷つくし、人を遠ざけて自分を守っていました。



数年前から、自分を変えようと。まず手始めにバレたら困ることを1つも持たないようにしようかなと。そのために、まずは8つやることを決めて、少しずつ自分の思考を前向きに変えていくことにしてみました。

1.嘘をつかない
2.悪口を言わない
3.やさしい顔つき
4.悪い態度をとらない
5.ていねいな言葉遣い
6.約束を守る
7.悪い感情を出さない
8.ふてくされない

「常に忙しく」も意識しています。暇があると「また病気になるんじゃないか」「仕事がなくなるんじゃないか」と不安になりますし、不安になると不満が溜まっていく。不満がたまると、もういい方向にはいかないと分かります。暇・不安・不満・堕落は私にとってセットなのかもしれません。
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構成=嘉島唯 撮影=小田駿一 編集=松崎美和子

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