不安障害などの精神疾患とコロナ再感染の関連性、研究結果で明らかに

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精神疾患の診断を受けた人が新型コロナウイルスのワクチン接種後にブレークスルー感染する可能性は、その他の人たちより約3.7%高いことが分かったという。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部などの研究者たちからなるチームが先ごろ米国医師会雑誌(JAMA)のオープンアクセスジャーナル「JAMA ネットワーク・オープン」に発表した研究結果は、精神疾患と診断されている人たちに対し、より積極的な感染対策の実施を促すことの必要性を示している。

調査対象としたのは、2020年2月から2021年11月までに米退役軍人省関連の医療機関でワクチン接種を完了し、接種前に感染していたことを示す記録がない26万3697人。

この論文によると、精神疾患の診断を受けていない人と比べ、薬物依存症の患者がブレークスルー感染する可能性はおよそ16%、大きなストレスを受ける生活上の出来事(ライフイベント)が引き金となる可能性があり、震えや強い緊張感、絶望感などの症状を示す適応障害の患者の場合は、約13%高くなっていた。また、不安障害の患者は、およそ8%高かったという。

新型コロナウイルスは一般に、高齢者にとってよりリスクが高いとされているが、精神疾患とブレークスルー感染のリスクの上昇との関連性が最も明確に示されたのも、65歳以上の患者だった(この年齢層の薬物依存症患者の再感染リスクは、24%高くなっていた)。

一方、65歳未満の精神疾患の患者の場合、ブレークスルー感染するリスクは最大で11%高くなっていたことが示されている。研究チームは、年齢、性別に加え、精神疾患と感染リスクの関係に影響を及ぼし得るその他の要因、肥満や喫煙習慣、糖尿病などについて考慮し、分析を行った。

論文の著者らによると、ワクチン接種を受けた人がそれほど多くない状況だったころから、精神疾患がある人の感染と入院、死亡のリスクはその他の人よりも高いとみられることが指摘されていた。

過去に医学誌ランセットその他のジャーナルなどに発表された研究結果でも、一部の精神疾患の診断を受けている人は免疫機能が低下しているケースがあるほか、ワクチンに対する免疫反応が弱い場合などがあり、そのためワクチンの効果が低くなる可能性もあることが指摘されている。

一方、アメリカ心理学会が運営する「Apa psycnet」に先ごろ掲載された研究結果では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の特定の症状がある人は、「飛行機を利用して休暇に出掛ける」「大勢が集まるイベントに参加する」など、特に感染リスクの高い行動を取る傾向にあるとの調査結果が示されている。

編集=木内涼子

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