ビジネス

2022.04.19

印リライアンス、英ドラッグストアの買収に関心

Tada Images / Shutterstock.com

インドの複合企業リライアンス・インダストリーズが、米ドラッグストア大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの英部門ブーツの買収に関心を示しているようだ。ロイターなどによるとブーツは競売での身売りが計画されており、リライアンスは入札を探っているという。競売での評価額は最大80億ポンド(約1兆3000億円)にのぼるとみられている。

リライアンスはインド最大の民間企業で、多国籍の複合企業としても世界有数の規模をほこる。そんな同社がブーツのような企業に関心を寄せる理由はいくつも考えられる。

ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは世界最大級のドラッグストアチェーンで、5カ国で計4000以上の店舗を展開する。なかでも英国では大きなプレゼンスがあり、「全人口の86%は住んでいる場所から10分以内にブーツの店舗に行ける」(同社)という。

ウォルグリーンはまた、大きな構想として、一般的な小売薬局サービスの提供にとどまらず、より専門的なヘルスケアニーズへの対応にも取り組んでいる。同社はブーツについて「信頼できる薬局ブランドとして、また地域社会におけるヘルスケアや美容アドバイスといったサービスの主要な提供者として、地位を高めていくことを常にめざしている」と説明。「専門的なカスタマーケアの提供や既存店への投資、店舗ポートフォリオの選択的拡大によって、そして最近はオムニチャネルサービスの開発を通じて、これを実現している」と述べている。

これはリライアンスにとっても、追求しがいのある有望な事業だろう。ウォルグリーンの事業やブーツ部門がこれまでに抜群の知名度とブランド認知度を築き、世界各地で地域住民から信頼を得ていることは間違いない。さらに今後、ウォルグリーンが通常の薬局以外にサービスを拡充していけば、現地の地域社会ではプライマリーケアが利用しやすくなるなど恩恵が広がることになる。

米国ではほかの小売大手も同様の取り組みを進めている。ウォルグリーンのライバルであるCVSファーマシーは、プライマリーケアを提供する「ミニットクリニック」を展開。ウォルマートも「ケア・クリニック」と呼ぶ事業部門を通じてプライマリーケアサービスを急速に拡大している。

繊維からエネルギー生産、通信まで幅広く手がけるリライアンスは、一貫して人々の生活に照準を合わせて事業を行ってきた。インドで同社のサービスや製品を利用していない家庭は皆無に近いだろう。ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの評判は、こうしたリライアンスのミッションにもよく馴染むものである。

実際にブーツを買収すれば、リライアンスはその店舗をインド亜大陸で積極的に展開しようとするに違いない。ブーツ側から見れば、急成長を遂げている世界最大級のヘルスケア市場に参入し、約13億人にサービスを提供するチャンスを得られることになる。うまくいけば、この事業は両社にウインウインの関係をもたらすものになりそうだ。

編集=江戸伸禎

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