経済・社会

2022.04.23 07:00

銃殺か電気椅子か、米国の死刑囚に与えられた「選択」

Getty Images

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サウスカロライナ州の死刑囚が4月15日、電気椅子ではなく、銃殺による死刑を希望すると宣言した。これは、彼自身がどちらの刑罰を選ぶかの選択を求められた結果だが、彼はどちらの刑罰も憲法違反だと主張している。

リチャード・ムーア(57)死刑囚は、提出書類で、「どちらの刑罰も違憲だと考えるが、選択を強制された結果、電気椅子のほうにより強く反対する」と述べた。

サウスカロライナ州では、死刑用の薬物の調達が法的問題から困難になり、10年間死刑が休止されていたが、昨年施行された法律で、囚人が電気椅子か銃殺刑のどちらかを選べるようになった。

ムーア死刑囚は2001年に強盗未遂でコンビニの店員を殺害した罪で有罪判決を受け、20年間収監されているが、正当防衛を主張している。ムーアは丸腰で店に入り、店員と争いになり、店員が取り出した拳銃を奪い取った。

そして、店員はもう一丁の拳銃を取り出し、銃撃戦になった結果、ムーアは腕を撃たれ、店員は胸を撃たれて死亡した。

死刑情報センター(DPIC)によると、ムーアが予定通り4月29日に処刑されれば、過去50年間で4人目の銃殺された死刑囚となる。

サウスカロライナ州には、死刑に薬剤が使用された場合に製薬会社を訴訟から守る「シールド法」がないため、死刑執行用の薬剤が入手できないでいた。その結果、同州では10年以上、死刑が執行されず、議員たちは昨年、銃殺刑を復活させる法律を可決させた。

ムーアの弁護士は、州最高裁に対し、これらの2つの選択肢が適切であるかどうかを控訴裁判所が判断するまでの間、刑の執行を延期するよう求めている。一方で、連邦最高裁もムーアに与えられる刑が、他の同様の罪を犯した者と比べて不釣り合いでないかを判断しようとしている。

DPICによると、米国では現在8州が死刑執行に電気椅子を用いている。一方、ミシシッピー、オクラホマ、ユタ、サウスカロライナの4州は、銃殺刑を認めている。

編集/翻訳=上田裕資

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