経済・社会

2022.04.18 12:00

ホワイトハウス、人気TikTokerたちを説明会に「招待」。ウクライナ侵攻問題で

石井節子
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Getty Images

新型コロナウイルスの猛威が最高潮に達したとき、ジョー・バイデン大統領率いる米国政府はワクチン接種促進キャンペーンの一環として、TikTokの「インフルエンサー軍団」創設に対して、月最大1000ドルの協力金支給を認めた。

1000万人以上のフォロワーを抱える当時17歳の高校生インフルエンサー、エリー・ザイラーはホワイトハウスから興味深い話を持ちかけられた。自身のフォロワーをはじめとした若年層にワクチン接種を促すキャンペーンへの参加を要請されたのだ。

当時18歳のスター、オリヴィア・ロドリゴを筆頭に、膨大なフォロワーを抱える50人ほどのTwitchストリーマー(配信者)やユーチューバー、TikTokインフルエンサーが参加した。州や自治体のなかにも同様のキャンペーンを始めたところがある。

政府に「招集」された人気インフルエンサーたち


いまインフルエンサーたちはこれに似た作戦行動にふたたび参加している。ただし今回のテーマは、ロシアのウクライナ侵攻問題だ。ホワイトハウスと国家安全保障会議の幹部は、絶大な影響力を誇るソーシャルメディアの有力コンテンツクリエイターを30人ほど招き、リモート説明会を開いた。

コンテンツクリエイターにはウクライナでいま起きていることの概要と、ジェン・サキ大統領報道官と国家安全保障会議顧問マット・ミラーの見解が伝えられた。インフルエンサーたちは兵士のように戦況報告を受け、彼らからの質問にホワイトハウスの職員が回答する形式を取った。議題は救援活動から、ロシアによる核攻撃の可能性にまで及んだ。サキ報道官はTikTokのセレブリティたちに、「偽情報を駆逐する最も効果的な方法は、真実を伝えることだ」と語った。

ホワイトハウスも認めたTikTokの実力


ホワイトハウスのデジタル戦略担当責任者、ロブ・フラハティはこの説明会に際して、TikTokは最新情報を更新して何百万もの人々に伝える「きわめて重要な」発信源であると述べ、3月12日にはTwitterで、「発信を始めたデジタルコンテンツクリエイターのおかげで、驚くほどたくさんの人々がウクライナ侵攻に関する知識を得ている。われわれはそれを真剣に受け止め、クリエイターがフォロワーの質問に正確に答える能力を持つように力を尽くしている」とツイートした。

ワシントン・ポスト紙によれば、「TikTokのフォロワー数が53万4000人を超える若手クリエイター、カリル・グリーンは招待状のメールが届いても驚かなかった」という。グリーンはこう語る。「ぼくらの世代はすべての情報をTikTokから入手する。新しい話題を見つけて、その知識を得るときはまずはTikTokを検索する」

フォロワー350万のコンテンツクリエイター、マーカス・ディパオラは──


CBSニュースは、TikTokで350万ものフォロワーを持つコンテンツクリエイター、マーカス・ディパオラの言葉を次のように伝えている。「ロシアがウクライナで化学兵器や細菌兵器、核兵器を使用したら、アメリカ合衆国は支援行動を拡大させるだろう。それが何を意味するかはまだわからないが、ロシアに有利に働くことはありえない。また、ロシア軍部隊は侵略行為に決して乗り気ではなく、そのことが戦争の行方に大きな影を落としている。さらに言えば、ロシアはウクライナで勝利を得られないだろう。戦況がこれほど悪化すれば、もはや勝利の可能性はないに等しい」

TikTokを浅薄なものと考えている人たちは、インフルエンサーがどれくらい収益を得ているのか知りたいのではないだろうか。多数のフォロワーを持つTikTokのインフルエンサーは大変な金額を稼いでいる。TikTok用の動画を作成することで裕福な暮らしをしている者もいる。

フォロワーが100万人いれば、月に1000ドルから3万ドル稼げる可能性がある。忠実なフォロワーを大勢抱える人気者なら、自社製品を視聴者に紹介してもらいたがっている有名ブランドからスポンサー契約のオファーが来るからだ。

翻訳・編集=小林さゆり/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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