「タダで道具をもらえるだけでなく、それを身につけることでお金をもらえるなんて、世界で一番クールなことだと思っていた」と、彼は話す。
パンデミックによって大学が閉鎖されると、ディ・ブラットは空いた時間を利用して、自分の会社を立ち上げた。彼が経営する広告エージェンシーの「コアラ・デジタル(Koala Digital)」は、TikTokのクリエイターとブランドを結びつけ、16ヶ月間で14万ドル(約1700万円)以上の取引を仲介した。
起業したばかりのディ・ブラットはまず、アパレルブランド1340 Collectiveの創設者でクリエーターのJustin Escalonaにアプローチしてみることにした。驚いたことに、Escalonaは彼のDMに返事を寄こし、それがビーフジャーキーのブランドやギャンブルサイトとの取引につながった。
「インフルエンサーと仕事をするのは、それほど難しいことではない。特定のエージェンシーを持たないクリエイターの場合、広告案件を提案すれば普通は断らない」と、彼は話す。ディ・ブラットは、マーケティングサイトの「Woodpecker」を通じてインフルエンサーを募っている。
彼がこれまで組んだインフルエンサーには、Daniel MacDonaldやMark Tilbury、Frank Michael SmithなどのTikTokで人気のクリエイターが含まれており、最近ではロビンフッドの競合の投資アプリ「Public」などの案件を手がけている。
コアラ・デジタルはコミッションベースの案件に加えて、一部の代理店と月額制の契約を結んでいる。「一定の収入を確保することは、歓迎すべきセーフティネットと言える」とディ・ブラットは話す。
現在、トロントのライアソン大学の不動産経営学部の2年生の彼は、これまでの大学生活がすべてオンラインであったため、ビジネスを行う上での自由度は高いが、勉強はきっちりやっていると話す。
学生起業家には「我慢強さが必要」
「例えば月曜日は、ファイナンスの授業がある午後3時までに、クライアントとの打ち合わせを終わらせている。火曜日の午前中と木曜日の午後は、大学の勉強に集中する」
今後の広告キャンペーンについて、彼は多くを語らないが、投資アプリのPublicの案件は、長期的なパートナーシップを前提としたものだという。ディ・ブラットの長期的な目標は、強力なチームを構築することで、インフルエンサーマーケティングのエージェンシーとして、独自のキャンペーンを行うアイデアも探っている。
起業を目指す他の若い人たちへのアドバイスとして、彼は「とにかくやってみることだ」と話す。しかし、それと同時に「我慢強さも必要だ」と語る。
「この仕事は、100のブランドに取引を持ちかけるメールを送って、1件でも成立すればいいぐらいの確率だ。でも、忍耐力さえあれば道は開けると信じている」と彼は話した。