それでは、仕事でのパフォーマンスと所属意識の間にはどのような関係があるのだろうか?
ハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載された「The Value of Belonging at Work(仕事における所属の価値)」という記事は次のように述べている。
「労働者が自分は集団に所属していると感じると、企業は業績面で大きな効果を享受する。所属意識の高さは業務遂行能力を56%も向上させ、離職リスクを50%低下させ、病欠日数を75%減らしていた。1万人規模の企業では、これは5200万ドル(約65億円)以上の年間削減額を生むだろう」
誰もが所属できるカルチャーの醸成
リーダーは、カルチャーを作る上で確実に役割を担っている。あなたが無意識に作り出した環境では、自分らしく振る舞まっても集団に所属できると感じられず、溶け込むことを強いられる人がいるかもしれない。
自社のカルチャーはどのようにすれば分かるだろう? カルチャーは集団現象であるから、重要なのは個人ではない。そのため、自社のカルチャーを特定し明らかにするには、「私たち」を主語に議論を交わすことが必要だ。
自社のカルチャーの特徴を捉えるため、次の発言や問いが自社に当てはまるかどうかを考えよう。
・ここでは、「プロフェッショナル」になるには〇〇しなければならない。
・ここでは、尊重されるには〇〇しなければならない。
・この組織でリーダーにうってつけの人材として見られるには、どのような性質や特徴が必要か?
・この企業に文化的に合っている人は誰か?
・ここで称賛されているアイデンティティーはどのようなものか?
・それは、どうすれば分かるのか?
・こうしたアイデンティティーを持たない人が受ける影響は何か?
経営陣とこうした会話を交わし、正直な回答を一緒に考える必要があるかもしれない。自分にうそをついたり、より高尚な答えを出そうとしたりしないこと。
こうした問いについて考えることで、従業員の職場への所属意識をさらに高めることができるだろう。また、自社のカルチャーやその影響を明らかにし、より多様性を取り入れれば、変化を起こすことであらゆる人や組織全体の業績が上がるはずだ。これこそ、現代のリーダーの真の役割だ。