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2022.04.17

「投資思考」でForbes賞受賞「快適な移動住宅で一石三鳥のお得感」


Forbes賞に選んだ理由は社会課題の解決もさることながら、普及させるための付加価値の創出部分もある。次の写真を見ていただきたい。





どんなに理念やアイデアが素晴らしくても、商品やサービスに魅力がなければ普及できない。その点、CLT comboは間仕切りや収納を随時追加して、ユーザーに合わせた仕様を実現できる。また、木を使ったことによる心地よさもある。東日本大震災の仮設住宅で高齢者が室内の仕切りでつまづいて怪我をしたり、それが原因で体を動かさなくなって健康を損なう例を見聞きしてきた。

「現在、東京学芸大学の敷地内で子供たち向けの木工教室などを行う教育施設として使用したり、自治体でも実証実験を行ったりしています」と、松本は言う。「一年間、104コンソーシアムで同世代の異業種の方々とワークショップを行ってきました。それまで投資というと、金銭的なリターンを得なければビジネスとして成立しないと考えていましたが、同時に、お金では測れない価値もたくさん生まれているのでは?と感じていました。投資によってお金だけではないリターンが生まれることを、私だけでなく、同世代の人たちもみんな思っていて、『間違っていなかったんだ』という自信につながりました」

ちなみに、松本に「なぜ住友林業に入社したのか」と聞くと、学生時代に体育会ヨット部に所属していたため、一年の半分を海で過ごしていたという。「だから、社会人になっても自然に関わる仕事をしたいと思っていたんです」。今でも休日は奥多摩など東京郊外の森林に行くという。

人も家も移動する。この「移動」が、日本の未来のキーワードかもしれない。

文=藤吉雅春 写真=後藤秀二

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