バーバリーが制作した話題の動画。老舗ブランドが示す、困難を楽しむ「気概」

Burberry Brand Campaign 2020 Festive Seasonより

バーバリーというブランドに、みなさんはどんなイメージをお持ちだろうか。筆者(1959年生まれ)の若い頃の印象では、「英国、トレンチコート、老舗、オッサンのブランド、自分には関係ない」といったところだった。特にあの著名な「バーバリー・チェック」には、“古臭い”という感覚しか持っていなかった。

どちらかというとシニア向けのブランドという印象が強かったバーバリーだが、1990年代からターゲット年齢を下げた商品を開発し、若者たちのブランドでもあることをメッセージし始める。

その傾向が顕著になるのが、2018年に元ジバンシィのリカルド・ティッシが新デザイナーに就任してからだ。ヒップホップなどに代表されるストリート・カルチャーの要素を色濃く取り入れ、「ラグジュアリー・ストリート・ブランド」と言われ始めた。

コロナ禍を落ちてくる氷の塊で表現


そんなバーバリーが2020年に制作した動画「FESTIVE SEASON(祝祭の季節)」を、今回はご紹介したい。この動画は、世界の広告界やマーケティング界で飛びぬけて大きな影響力を持つ「カンヌライオンズ2020~2021」のフィルム部門でゴールドを受賞した。2分ほどの動画は、次のようなものだ。


Burberry Brand Campaign 2020 Festive Seasonより

街の小さなテイクアウト・フードの店で店主とやり取りをする女性。彼女はバーバリーのコートを身につけている。「気をつけて。降って来そうだよ。落ちて来るよ」と言う店主に、女性は「だいじょうぶ、だいじょうぶよ」と言って外に出る。

ここから手拍子をメインとする音楽が始まる。すると、連れの女性とバーバリー・チェックをあしらったコートを着る男性2人が現れ、4人で踊り始める。曲は往年の名曲「雨に唄えば」を現代風にアレンジしたものだ。歌が始まると、何故か雨ではなく、氷の塊が落ちてくる。

氷の塊をバッグで避けながら店に駆け込むビジネスマンを尻目に、4人は華麗にステップを踏んで踊りながら、氷の塊を物ともせずに楽しそうに通りを進んで行く。歌詞で繰り返されるのは、「I‘m ready for love(愛する準備はできているわ)」という一節だ。
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文=佐藤達郎

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