初めて当局の承認を得たこの機器を開発したのは、米インスペクターIR・システムズ。FDAによると、2409人を対象に行った調査で、同社の「Covid-19(新型コロナウイルス感染症)呼気分析器」が示した精度(陽性を正しく「陽性」と検出)は、91.2%だった。現在の流行の主流となっている変異株、オミクロン株を対象に限定して精度を調べた結果でも、同様の数値が確認されたという。
さらに、検査の結果は3分以内で示されるという。FDAはそのほか、この呼気分析器は持ち運び可能な(旅行かばん程度の)大きさであることから、医療機関でも、仮設の検査場でも検査を行うことができると説明している。
インスペクターIRの呼気分析器は、1台で1日およそ160件の検査を行うことができるとされている。同社は今後、この機器の生産体制を強化する予定。週100台あまりの生産を可能にできる見通しだという。
FDAによれば、現在の生産体制のままでも、インスペクターIRの機器が使用できるようになることで、全米の1カ月あたりの検査能力は6万4000件分ほど引き上げられることになるという。
「Covid-19呼気分析器」は、化学物質を分析する技術のガスクロマトグラフィー質量分析法を用い、新型コロナウイルスに関連した5種類の化学物質を検出する。同社のティム・C・ウィング最高経営責任者(CEO)は2020年に発表したプレスリリースで、インフルエンザウイルスへの感染の有無を調べることができるものだと説明していた。
新型コロナウイルスの検査機器の開発においてはこれまで、精度が大きな問題となってきた。だが、FDAによると、インスペクターIRの呼気分析器機器は陰性も99.6%の精度で検出できたという。同社のジョン・レドモンド最高執行責任者(COO)は、検査の精度は現在市場に出回っているものの中で最も高く、この問題はほぼ克服できたものとの考えを示している。