新型コロナウイルス感染症に感染後、わずか数週間、あるいは数カ月後に再感染したことを報告している人は非常に多い。とはいえ、新型コロナウイルス感染症に関して現在までに行われた研究は少なく、こうした事例では果たしてウイルスが完全に消えていたのか、異なる変異株によりそれぞれ最初の感染と再感染が引き起こされたのかを断言するのは難しい場合もある。
米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスのデルタ株に感染後の90日以内にオミクロン株に再感染したことが確認された10の事例について記録し、報告書を発表した。この調査では全ゲノムシーケンシングと呼ばれる遺伝子解析技術により、感染者の中に存在していた変異株がそれぞれの感染で特定された。事例は、2021年10月から2022年1月の間に4つの州から集められたものだ。
カナダのウェスタンオンタリオ大学で臨床免疫学・アレルギー学部のプログラムディレクターを務めるサミラ・ジェイミー医学士・博士は「再感染に関して信じられている説得力ある説は、これが長期間のウイルス排出に過ぎないというものだ」と述べ、「そのため、この論文の最も印象的なメッセージは、全ゲノムシーケンシングで2つの別々の感染が確認されたことにある」と補足した。
10人の患者のうち8人は18歳以下で、残りの2人は長期療養施設の居住者と医療従事者だった。デルタ株とオミクロン株の感染間隔で最も短かったのは、12~17歳のワクチン未接種の子ども1人が経験したわずか23日だった。
この子どもが初めてデルタ株に感染したのは2021年11月23日で、オミクロン株は12月16日だった。この子どもは、最初の感染時には症状が出たが、2回目は無症状だった。
一方、デルタ株とオミクロン株に短期間で感染した残りの7人の子どものうち、6人はどちらの感染でも症状を示した。こうした子どもたちは全員5~11歳で、残りの1人の子どもは最初の感染で症状を示したが、2回目の感染時の症状に関するデータは得られなかった。
子どもたちはデルタ株の感染時、全員がワクチン未接種だった。また、オミクロン株で2回目の感染を経験するまでにワクチンの1回目を接種していたのはわずか2人だった。
ジェイミーは「これは懸念事項だが、ワクチン接種が最適に行われていない可能性が高い人の間で再感染の大部分が起きていることは意外ではない」と述べた。「再感染をする人のワクチン接種状況が未接種か未完了であることは、集団ワクチン接種の取り組みが今も引き続き重要であることを物語っている」(ジェイミー)