ビジネス

2022.04.22

河川清掃もリモートで。NPOが開発したiPhone向け「ゴミ拾いアプリ」

Getty Images


FLOATアプリには、現時点で河川ごみの問題に「気づき」を与えてくれるコンテンツがバランス良く揃っている。さらに、ユーザーが繰り返しアプリを開きたくなるひと工夫も加えるとしたら、ゲームやQ&Aをアップデートしたり、フォーラムによる直近のごみ拾い活動を動画で見られたりするといいかもしれない。

フォーラム理事長の今村氏は、「ユーザーからいただく寄付をフォーラムの活動資金とするだけでなくアプリの開発費にも充てて、今後もかきぬま氏と機能を拡充していきたい」と話す。

アプリを通して同じ問題に取り組むコミュニティとリアルなつながりを広げたい


「NPO法人が河川ごみ問題をテーマに扱うアプリを作ったことが話題を呼び、ローンチ以降からIT系の企業がより多く荒川クリーンエイドフォーラムの活動に注目してくれるようになった」と語る今村氏は、アプリの配信を契機として、今後の現場活動によりバラエティにも富んだ人のつながりが生まれることを期待する。


荒川クリーンエイドフォーラムの今村和志氏

FLOATアプリのゲームでは現在、荒川のほかにエジプトのナイル川を選んでごみ拾いのシミュレーションが楽しめる。

「ナイル川にも荒川クリーンエイドフォーラムのような、有志による河川清掃活動を組織するVeryNileという団体があり、アプリの紹介も兼ねてコンタクトしてみたところ良い反響も返ってきました。これからアプリを大きく育てる過程で、世界中の様々な河川ごみ清掃の取り組みと連携したい」とかきぬま氏は意気込む。

今村氏によると、荒川から出る河川ごみは太平洋ベルトの海流に乗ると、遠く北米の海岸にまで流付くこともあるのだという。プラスチック製の梱包材や細い糸などが漂流する過程で、海の生き物に絡みついてその命を脅かす危険性もある。

だからと言って、河川ごみの問題をあまり強くシリアスなトーンで発信してしまうと、清掃活動の参加者には大きな負担に感じられてしまうことがある。情報発信の「さじ加減」が難しいのだと今村氏、かきぬま氏が口を揃える。アプリが投じた一石から生じた波紋が大きなうねりに変わるのか、動向に注目したい。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
過去記事はこちら>>

文=山本敦

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事