山本:ただ、日本でシンジケートファンドをやると、現行の金融法に抵触してしまうんです。
そこで私たちは、シンジケートファンドを作るのではなく、厳選した起業家のピッチをオンラインで開催し、エンジェル投資家と起業家が繋がる「場の提供」をするという形で、セブンを設立しました。
──セブンという名前の由来は。
戸村:アメリカを代表する著名な投資家である、アンドリーセン・ホロウィッツが、「スタートアップは週次成長率7%以上であるべき」としているんです。それを参考に、毎月7日と21日の午後7時に7社のピッチを行っています。そして時価総額700億円以上の上場を目指しましょうと。
セブンの支援先、「ななほう」が販売する着物を身にまとう
山本:チャットワークが550億円で上場したので、それを超える企業になってほしいという想いがあります。700億円以上の上場、あるいは70億円以上のM&Aを目指せるようなビジネスになりうるかどうか、週次成長率7%を実現する経営者になれるか、という視点で起業家を選定しています。
──エンジェル投資家はどう集めている?
戸村:僕も山本さんもシリコンバレーに長年いましたが、現地の起業家って一見さんお断りの風潮があり、簡単に会えないんです。当時の僕たちは全員ウェルカムの姿勢で、経営者はまず山本さんに会いに行きシリコンバレーのいろはを聞く、学生起業家であれば僕のところにやってくる、そんな存在でした。
そうやって現地で知り合った経営者のなかでエンジェル投資に興味ある人に声をかけ、投資家になってもらっています。
山本:僕はシリコンバレー時代、ランチタイムだけは日本から来た人のために時間を空けるようにしていていました。
皆さん事業をやっているので、若い起業家を開拓する時間もないし、IPOの経験がなければ、どうサポートしていいかもわからない。そこをセブンがツアーガイドのように伴走しますと。
逆張りする理由
──VCという選択肢もあったのでは。
山本:スタートアップ投資で問題だと思っていることがあります。それは、投資家が上場直前など、成功確率の高い企業に資金を出すようになってきたこと。
例えばソフトバンクは、ユニコーンに近いスタートアップに次々投資するようになってきましたし、日本のVCでもシード投資をしていた会社が、シリーズAに移るといった動きもあります。
今の流れからすると、我々は逆張り。一番リスクの高いところですが、しっかりと起業家の資質を見抜いて投資家をつなぎ、資金調達後も放置せずに育てることに注力しています。
ほっといても成功するような起業家を奪い合うように投資していても、スタートアップのパイは広がらないんですよ。
戸村:すでに成功事例は出ていて、例えば、福岡のCOOOL TURF。人工芝を作っている会社で、口頭のプレゼン3分で3000万円近い調達が決まりました。僕たちと出会った時、残りのお金が200万円で、「そこで資金調達していなければ、地道にスモールビジネスをするしかなかった」と社長がおっしゃっていました。