世界最大のパソコンメーカーであるレノボは4月4日の声明で、同社の研究開発スタッフが、「あらゆる規模の企業が、メタヴァースを活用するのに役立つ技術」に取り組むと述べた。
北京に本社を置く同社は、今後5年間で新たなテクノロジー関連の研究開発に約157億ドルを投資すると4月7日のNikkei Asiaは報じた。レノボは声明の中で、今後3年間でR&D投資を倍増させ、クラウド関連の研究のために1万2000人のスペシャリストを増員すると述べている。
人々がアバターを通じて仕事をしたり遊んだりするメタバースは、まだ始まったばかりだが爆発的な成長を遂げている。調査会社Brandessence Market Researchは、2020年に約450億ドルの規模だったメタバース市場が、2027年には5960億ドル(約75兆円)にまで成長すると予測している。同社は、複合現実とオンライン教育のブームがメタバースの成長に拍車をかけていると指摘した。
台北の市場調査会社カウンターポイントのBrady Wangは、これまでメタバースにほとんど取り組んでこなかったレノボが、既存のビジネスの強みを活かし、メタバース向けのサーバーやクラウド関連技術を開発できると述べている。
Wangはさらに、ネットワークや暗号通貨などのその他のメタバースの要素については、レノボが自社で研究開発を行うよりも、外部企業に直接投資した方が立ち上がりが早いはずだと指摘した。
一方で、台湾のテック領域のアナリストのSean Suは、レノボのような企業は、メタバースの個々の要素に集中するほうがより大きな成果をあげられると述べ、仮想現実を通じたデータ処理が、特に有望な分野だと指摘した。
IDCのデータによると、2012年頃からPCの出荷台数を伸ばしたレノボは、今年第1四半期の世界のPC市場で22.7%のシェアを持ち、世界最大のPCベンダーとなっていた。