その2カ月前に行われた同様の調査と比べると、割合は大幅に増えている。さらに近年は、米国人のロシアに対する見方について、共和党派の米国人と民主党派の米国人の意見が一致してきている。
ロシアがウクライナに侵攻する前の2022年1月に実施された調査では「ロシアは米国の敵である」と答えた成人の割合は41%だった。ところが、3月21日から3月27日にかけて行われた調査では、29ポイント上昇して70%に達した。
民主党支持者と共和党支持者は考えがほぼ一致しており、ロシアを敵だと答えた調査回答者は、民主党支持者が72%、共和党支持者が69%だった。
とはいえ、ロシアを巡る両党支持者の意見は常に一致していたわけではない。2020年の世論調査では、共和党支持者あるいは共和党寄りの調査参加者のなかで、「ロシアの影響と支配力は、米国にとって最大の脅威である」と答えた割合は48%だったのに対し、民主党支持者あるいは民主党寄りの調査参加者の場合は68%だった。
紛争に対処しようとしてきた同盟であるNATO(北大西洋条約機構)に対する米国人の評価も、ロシアによるウクライナ侵攻後に上昇している。「米国は、NATO加盟国として恩恵を受けている」と回答した人は、2021年の調査時は61%だったが、3月の調査では67%に上昇した。
また、3月の調査では、「ウクライナ情勢について、たとえロシアとの核戦争に発展する恐れがあるとしても、米国は軍事行動を起こすべきだ」と回答した人が35%も存在したことが明らかになった。
世論調査大手のギャラップが、ロシアの脅威について問う世論調査を初めて行った2001年には、「ロシアは米国にとって最大の脅威である」と回答した割合は4%から7%だった。それ以降の15年間は、ロシアの脅威度を巡る民主党支持者と共和党支持者の考えは基本的に一致してきた。
それが大きく変化したのは、2016年だ。米国大統領選挙で、ロシアがドナルド・トランプを当選させるべく協力し、介入を試みたとされる時期と一致する。それ以来、ロシアを米国にとって最大の脅威だとみなす民主党支持者の割合は、16%から30ポイントも跳ね上がり、2019年には46%に上った。
一方、2016年の調査では、共和党支持者でロシアを最大の脅威とみなした割合は14%で、その後は減少したものの、2019年には再び14%と同水準に戻った。
2022年3月のピュー・リサーチ・センター調査では、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンについて、「国際問題に関して正しい行動をとっているか」との質問に対し、「そう思う」と回答した人は6%だった。