顧問は「こうした混乱はすべて、難民鎖国という日本の特性から引き起こされている」と語る。出入国在留管理庁によれば、2020年の難民認定申請者数は3936人で、難民と認定された人は46人にとどまった。日本の法務省は、紛争地から逃れてきただけでは難民と認めない方針を維持している。内閣府の2019年度世論調査によれば、難民の受け入れが「少ないと思う」と答えた人は54.6%だったが、「積極的に受け入れるべきである」と答えた人は24%で、「慎重に受け入れるべきである」とした56.9%の半分以下にとどまった。
それでも、この小都市では、市の関連団体を窓口にして避難民の対応を進めていくことで落着した。避難民を救いたい熱意の成果だと言える。ただ、顧問は「経験や知識の不足は明らかで、可哀想だという感情だけでは解決できない問題もある。この都市の場合、2人の避難民だから何とかなるだろうが、200人になり、200人になったらどうなるのか。同じような対応は難しいかもしれない」と語った。
政府関係者によれば、ウクライナからの避難民は4月上旬現在、4百数十人。これに対して、受け入れを希望する自治体や団体は900以上にのぼっている。政府も、日本に親族や知人のいない避難民などに、1日最大2400円の生活費を支給する案も検討している。政府関係者は「ウクライナが世界的に耳目を集めているので、手を上げている自治体や団体が相次いでいるようだ。支援策は大体半年を目安に考えているが、滞在が長期にわたった場合、改めて考え直さないといけない」と語る。
この関係者は「これがアフガニスタンやインドシナからの避難民だったら、同じような雰囲気になっただろうか。善意は素直に受け入れるべきものだろうが、少し複雑な気持ちになる」と語った。
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