ビジネス

2022.04.12 06:30

生産拠点を消費地近くに移転させる「ニアショアリング」が活発に

Getty Images


欧州ブランドも、近場に生産地を移転する動き


ザラ(ZARA)の親会社であるファストファッション大手のインディテックスはすでに、商品の53%を欧州市場で生産している。伊ブランドのベネトンも、セルビア、クロアチア、トルコ、チュニジア、エジプトなど、イタリアに比較的近い国々での生産を増やしている。同社のマッシモ・レノン(Massimo Renon)最高経営責任者(CEO)は、2022年末以降はアジアでの生産量を半減させたいという考えを示している。
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メンズファッションの独ヒューゴ・ボスのダニエル・グリーダーCEOも、将来的には生産地と販売地がより接近するだろうという見込みを述べた。

北米に目を向けると、ルルレモンは、可能な場所へと生産を移管し、航空輸送の利用を増やし、主要なシーズン商品の生産を優先させている。ギャップも、輸送が遅れている在庫に対処しようとして、航空輸送に資金を投じている。

ただし、商品の空輸は高くつく。商品が満載のコンテナを空輸すると、コストが8倍以上に膨らむうえに、輸送費そのものが高騰しているのだ。
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英「エコノミスト」誌の調査によると、2020年までは、40フィートコンテナ1個あたりの世界主要通商航路運賃が2000ドルを超えることはなかった。ところがいまでは、運賃が推定で5倍に膨れ上がっており、1万ドルと記録的な額となっている。

環境とサステナビリティが重視されていることから考えても、ファッション・マイレージは、世界の物流を根本から再編する、もうひとつの原動力になるかもしれない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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