そんな中、マッチングアプリにも戦争の影響が出ている。欧米で広く使われているマッチングアプリ、Bumble(バンブル)もロシアとベラルーシでのアプリのダウンロードを停止。片や、マッチングアプリの草分けとも言われるTinder(ティンダー)は、ロシアでもウクライナでもサービスを継続している。
さらにロシアとウクライナでは、デート相手を見つけるというデフォルトのアプリの目的とは違う使われ方がされるケースが増えている。
英字メディア「スクリーンショット」によると、ロシア人のティンダーユーザー向けに、今ウクライナで起きていることをティンダーのプロファイルに説明し、真実を草の根レベルで伝えようとする動きが見られるという。
キーウのウクライナ人男性とやりとりしてみた:「戦争に参加したくて仕方がない」
筆者は自身のスマートフォンにティンダーをダウンロードし、特定の地域の人と繋がることができる「パスポート機能(有料)」を使って、ウクライナの首都キーウ(外務省は3月31日、「キエフ(キーフ)」の日本語呼称をウクライナ語発音の「キーウ」に変更する」と発表した)、およびその周辺地域に住んでいる人とマッチしてみた。10数人とすぐにマッチしたものの、実際にメッセージのやり取りが成立したのは数人。
出会い系サービスを提供するアプリケーション「ティンダー」は、相互に関心をもったユーザー同士のみのコミュニケーションが可能、さらにマッチしたユーザー間でのチャットを可能になる(Getty Images)
そのうちのひとり、キーウの40代前半のウクライナ人男性、ユージーンは、戦争が始まってからの日常や怒りの気持ちを「これから話すことにはショックしかないと思うけど」と前置きした上で、チャットで今置かれた状況や思いを共有してくれた(彼のインスタグラムアカウントは gremline__67)。
筆者:現在の心境と状況について教えてほしい。
ユージーン:怒りの感情しか感じられない。ロシア兵を殺すために政府と軍隊がライフル銃を供給してくれないことに憤りを感じている。自分は2002年から予備軍リストに自分の名前があるが、3番目のリストなので、戦争にはまだ呼ばれていない。過去に戦争を経験した人から順に呼ばれているので、自分の番はなかなか回ってこないのが歯がゆく、戦争に参加したくて仕方がない。
ウクライナ人男性はみんな、軍隊から声がかかるのを待っている。戦争が始まって最初の10日間は、入隊を希望する男性たちで長い列ができていた。
筆者:家族はまだキーウにいるのか。
ユージーン:離婚した元妻と娘はポーランドに避難した。私は、キーウにいても安全だと元妻に言ったが、彼女は避難することを選んだ。
ユージーンから送られたキーウの現在の風景1
ユージーンから送られたキーウの現在の風景2