ティンダーが通信手段に。ウクライナ人男性「怒りしかない、戦地へ行きたい」

Getty Images(ウクライナの首都キーウ。カラフルな街並みでも有名だ)


筆者:現在のキーウでの生活はどのような感じなのか。

ユージーン:街にはあまり人がいないが、今は、戦争の前のような状態だ。20〜40のビルが破壊されたし、1日のうちにしょっちゅうアラームが鳴るのは確かだけれど。オフィスはクローズしているので、仕事には行っていない。

最初の2週間は水と食料が欠乏したのが問題だった。みんな恐怖から買い占めに走ったからね。供給がストップしたのもある。運転手がキーウに行きたがらなかったんだ。戦争前と同じというわけにはいかないけれど、今は大丈夫だ。ただ、特定の商品、医薬品はないものがある。痛み止め、栄養剤、包帯などはキーウの薬局にはないね。

現在、食事に関しては、スーパーで買い物することはできるけど、レストランは軍向けに料理を提供しているところもあるが一般市民向けには営業していない。料理をしない自分はひたすらサンドイッチを食べている。

筆者:戦争はいつ終わると思うか。

ユージーン:プーチンの身に何かが起こるという運に恵まれない限り、5〜30カ月はかかるだろう。

筆者:諸外国や日本に対して何か望むことはあるか。

ユージーン:ヨーロッパ諸国と米国はパルチザン(抵抗戦)に使える武器を提供したが、私たちが今必要としているのはもっと戦闘機やミサイル、戦車などだ。ウクライナ軍に寄付してほしい。暗号通貨の寄付も可能だ(本記事末尾に情報あり)。


ウクライナ政府の暗号通貨寄付先に関するツイッター(英語)

筆者:ティンダーをなんのために使っているか。

ユージーン:自分は離婚歴があって、再婚したいと思っている。平時にはアプリじゃなくて、ナイトクラブで女性とは出会っていたけど、戦争下ではそれも叶わないからね。もしForbes JAPANの記事をきっかけに将来の妻との縁があったりしたらうれしいね。日本人女性とも出会えたらすばらしいと思う。



ルーマニア在住の男性とも:避難する人は受け入れる


また筆者は、ウクライナの隣国であるルーマニア在住の男性からも話を聞くことができた。ウクライナから避難する人を受け入れる国としてポーランドについては頻繁に報じられているが、ルーマニア在住の男性も、求めがあれば自宅で避難してきた人を受け入れる用意があるという。

ビクター(仮名):自分のアパートに空いている部屋があるので、ウクライナから避難してきた人が滞在できる準備はできている。ウクライナ人女性たちとはティンダーを通じてコミュニケーションをとっているよ。デートの相手を探すためというわけじゃなくて、ただ話をしているんだ。

──前述の英字メディア「スクリーンショット」で、メディア「アンハード」ライターのゾーイ・ストリンペル氏は「慎重に使えば、ティンダーは強力な、非暴力の武器にもなり得る」と語っている。死者の数など、連日惨状が伝えられるニュースの前には無力感が大きいが、デジタル戦争がいかにリアルの戦況に影響を与えるかについても注視していくべきだろう。

【参考記事:ウクライナへの暗号通貨での寄付について】
https://forbesjapan.com/articles/detail/46179
https://www.afpbb.com/articles/-/3395086


高以良潤子◎ライター、翻訳者、ジャーナリスト、外資系企業プログラムマネジャー。シンガポールでの通信社記者経験、世界のビジネスリーダーへの取材実績あり。2015年より米国系大手EC企業勤務。インストラクショナルデザイナーを務めたのち、現在はプログラムマネジャーとして、31カ国語で展開するウェブサイトの言語品質を統括する。

文=高以良潤子 編集=石井節子

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