経済・社会

2022.04.10 11:30

対ロ制裁対象のダイヤモンド、サプライチェーンに大きな「抜け穴」


ニューヨークの宝石商、R.A.リアム・グループとその子会社で人工ダイヤモンドを取り扱うALTRクリエイテッド・ダイヤモンズのアミシュ・シャー社長は、ロシア以外でカットされ、研磨されたダイヤモンドの米国への輸入に、制裁は実質的な影響を与えないだろうと述べている。

また、WDラボグロウンダイヤモンズの最高マーケティング責任者、ブリタニー・ルイスは、ダイヤモンドのサプライチェーンには「大きな欠陥」があると語る。

ルイスによると、ダイヤモンドのサプライチェーンには、原産地を明確にするトレーサビリティ(追跡可能性)が欠如している。例えば、ティファニーはロシア産のダイヤモンド原石の調達を完全に一時停止したと発表しているが、シャーによれば、それを保証することは困難だ。

それは、「カッティングのためにインドその他の場所に送られたダイヤモンドは、それ以前の(実際の)原産地まで追跡されることがない」ためだ。ルイスはさらに、「トレーサビリティと原産地表示は、別のものだ」と述べている。

「追跡可能であるとは、AからB、そしてCの地点までの移動を確認できることだ。だが、消費者が求めるのは、原産地の保証に加え、ダイヤモンドがサプライチェーンにおいてどのように移動し、それぞれの段階でどれだけの価値が付加されたのかということだ」

原産地についての可視性と透明性、そして原産地保証を消費者に提供するのは「難しいことだが、不可欠だ」と話すルイスは、「これらの重要な問題に関する決定権は、消費者にある」と指摘している。

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事