米国は世界最大のダイヤモンド・ジュエリー市場だ。売上高は、世界全体の50%以上を占める。つまり、米国の輸入禁止は、世界のサプライチェーンに影響を及ぼすだと考えられる。
また、パンドラ(世界最大規模の宝飾品メーカー)やシグネット・ジュエラーズ(米宝飾品小売業で最大規模)、LVMH傘下のティファニー、リシュモン傘下のカルティエやヴァンクリーフ&アーペル、そしてケリングなど、各国の宝飾品大手はそろって、ロシアからの輸入停止に賛同している。
だが、この措置には、大きな抜け穴がある。米国で販売されるジュエリーに使われているダイヤモンドの大半はそもそも、法律的には「ロシア産」ではない。世界で取引されているダイヤモンドは約95%がインドでカット・研磨されており、インド原産として輸入される。
これについて、米国の下院議員11人からなる超党派のグループは政府と財務省に送った書簡で次のように述べるとともに、この抜け穴を塞ぐための措置を講じるよう求めている。
「(ロシアが供給するダイヤモンドの90%に関与するダイヤモンド採掘会社の)アルロサと同社のセルゲイ・イワノフCEOが世界市場で自由に活動する能力に……制裁が与える影響は、最小限にとどまるとみられる」
「アルロサの子会社によるダイヤモンドの採掘、インドやその他の国での研磨・カットは可能であり、それらは一切差し止められることなく米国に販売され、ロシア政府に利益をもたらしている」
インド紙エコノミック・タイムズによると、(世界最大のダイヤモンド採掘会社である)アルロサからインドへのダイヤモンド原石の輸送に問題は起きておらず、支払いはドイツの銀行を介して、ユーロで行われているという。