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2022.04.09 07:30

人々がより寛大に、米国でコロナ禍のなかで寄付額が増加


論文で研究チームは、「過去の研究は、経済的にひどく混乱した状況下では、人々は度を越した行動に出て、ときには道徳に反する行為に手を出してまで、お金を手に入れようとする可能性があることを示唆している」と述べている。「ところが今回、2種のデータセットを分析したところ、今回のパンデミック下では、人々は総じて、自分のお金を、より自発的に差し出したことが浮き彫りになった」

両データセットを分析した結果、新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされた郡の78%で、コロナ禍前の2019年3月よりも、コロナ禍初期であった2020年3月のほうが、寄付総額が多くなったことがわかった。

一方、パンデミック中に脅威にさらされなかった郡では、2020年3月の寄付総額が、2019年3月と比べて55%増加していた。2019年4月と2020年4月を比べた場合にも、同じ結果が見られた。

郡別の平均寄付総額をみると、脅威レベルがゼロのときと比べた金額の増加割合は、脅威レベルが低いときは31.6%、中程度のときは28.5%、高いときは32.9%だった。また、2回以上寄付を行った人は、福祉関連の慈善事業にも寄付をしていた傾向が強かった。

一方、独裁者のゲームでは、群の脅威レベルごとに、脅威レベルがゼロだったときの贈与平均額と比較した。その結果、脅威レベルが低いときは8.6%、中程度のときは13.1%、高いときは8.3%、贈与額が多くなっていた。興味深いのは、パンデミックによる脅威が存在すると、寛大さが全般的に上昇したものの、「脅威レベルの違い」が寄付金額に影響することはほとんどなかったことだ。

「両方のデータセットで寛大さの上昇が確認できたが、専門家が過去データをもとに予測していた内容と照らし合わせると、これは興味深い結果だ。同時期には、経済状況が悪化したと回答した人が米国では過半数を超えるという記録的な数に上っており、専門家は、パンデミックに起因する経済の低迷が、寄付金の減少を招くだろうと予測していた」と研究チームは指摘した。

「脅威下にありながら、人々がもっと寄付をしようと考えた背景には、死者の急増のなかで、人々が主体感と自己効力感を強めたいと願い、思いやりが増したことがあった可能性がある。あるいは、多大なストレスがかかった時期に、前向きな感情(温かい心)を経験したかったのかもしれない」

翻訳=ガリレオ

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