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2022.04.28

「マルチステークホルダーをつなぐハブに」SIIだからこそ実現可能な社会課題解決へのアプローチ

日本最大級の総合コンサルティングファームのひとつであるPwCコンサルティング合同会社。同社の有志が立ち上げた、ソーシャル・インパクト・イニシアチブ(以下、SII)という部門横断型組織がいま、その存在感を強めている。これまで第三者的視点でクライアントにコンサルテーションしてきた同社において、社会課題解決のために、社会起点で発想し、クライアントを巻き込むことを目指すという点において独自性が評価されているのだ。

当連載では、SIIの意義や可能性に迫ってみたい。第二回となる今回は、SIIを立ち上げた一人・下條美智子と立ち上げに加わった有志メンバーに、SIIの活動を通しての自身の変化、実務を通して感じたコレクティブ・インパクト・アプローチの重要性を中心に話を聞いた。

※コレクティブ・インパクト・アプローチ
SIIのコアとなる概念。社会の多くのステークホルダーを巻き込みながら、各者がそれぞれのくくりを超えて協働し、さまざまな社会課題に取り組むことで集合的なインパクトを最大化することを目指す。


プロボノ活動の背景にある想いとカルチャー


──下條さんは2017年にPwCコンサルティング社内でプロボノ活動※の立ち上げを行う際、企画立案メンバーとして参画。その後、社内の体験型フィールドスタディなどを通じて社会課題の根深さに直面されたことをきっかけに、SIIを立ち上げたとお聞きしています。ほかのみなさんも社会課題に向き合うようになった個人的な体験、SIIに参画された経緯について教えてください。
※社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動

石川:
私が社会課題に関心を持ったのは9.11アメリカ同時多発テロです。小学生の頃、平和な日常が一瞬で崩れ去る報道映像を目の当たりにし強い衝撃を受けました。また「人より多く学び経験を得た者は、それを社会に還元する義務がある」という学生時代の恩師の訓示を、いつか自分も実践すべきだと考えていました。

SII参画を決めたターニングポイントは、PwC コンサルティングの初代代表として国際的な次世代リーダーフォーラムに派遣されたことです。世界中の若手リーダーが、熱意をもって社会課題に取り組む姿に感動しました。その頃、私は当時の当社CEO 足立(晋)さんから社内で社会課題を解決できる人材を増やすためのチェンジマネジメント施策の提案を依頼されており、ちょうど立ち上げが進んでいたSIIに合流しました。


石川 希◎金融サービス事業部 シニアアソシエイト。2016年に新卒入社。主に金融機関に対する、経営管理高度化、国際会計基準対応などのコンサルティングサービスに従事。SIIの立ち上げ後、社内のソーシャルチェンジ施策を担うプログラムを立案・展開。社会課題に取り組むための心的ハードルを下げ、誰もが解決に参加できる状態を目指し、意識改革ワークショップやSIIに集うメンバー同志のコミュニティ形成などを推進している。


金丸:石川さんは幼い頃から社会課題への関心が高かったのですね。私の場合は、前職の製薬メーカー勤務の時から社会のアンメットニーズに応えたいという想いが次第に大きくなりました。その後、PwC コンサルティングでプロボノ活動に参加したことがSIIとの出会いにつながっています。

私は非営利団体の活動が社会にとって有意義だと認識する一方で、彼ら単独では課題解決をスケール化できないこと、逆に我々は力を持った企業にアプローチできるものの、収益性が見込める企業の関心事だけが支援対象となることにもどかしさを感じていました。そんな時、一緒にプロボノ活動を行っていた下條さんにSIIの立ち上げ構想についてうかがい、SIIであれば貧困や教育など日の当たりにくい社会課題解決に深くアプローチできるはずだと思い、手を挙げました。

髙梨:私自身は石川さんや金丸さんのように、社会貢献や環境問題に強い想いを持っているタイプではありませんでした。それらに向き合うようになったきっかけは、私が所属している部署で「ソーシャルイノベーション」というサービス開発テーマが掲げられ、チームリーダーを任されたことです。当時はまだサステナビリティ・トランスフォーメーションという概念が一般的ではなかったのですが、調べていくうちにサステナビリティの重要性を理解するとともに、企業経営の根幹を覆すほどインパクトを持つ概念だと気づきました。個人的に今後のコンサルタントとしてのキャリアの軸に据えるべきだと思い、立ち上がったばかりのSIIに合流しました。


金丸雄祐◎公共事業部 シニアアソシエイト。大学院修了後、製薬研究職を経て、2018年に入社。業界を問わず戦略から実行支援までSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)関連のコンサルティング業務に幅広く従事。非営利団体の活動に関心を持ち、プロボノ活動にも参加。SIIのコンセプトの普及やサステナビリティを広く推進する活動にも力を入れ、当活動のエンジンとして動いている

──さまざまな体験やバックグラウンドをお持ちですが、実際にSIIで活動されてみてその組織カルチャーをどう捉えていますか。

髙梨:SIIには多様なメンバーが揃っているだけでなく、他者がやりたいこと・悩んでいることに耳を傾け、積極的に協力し合うカルチャーがあります。もちろん、売上に対するコミットメントは求められますが、売上を伸ばすことがすべてではないという風潮もあります。自らに足りない領域を他者と共有して一緒に課題解決を進め、困った時には相談するカルチャーが根付いていますが、SIIではそれがさらに顕著です。

下條:そういったカルチャーが醸成されている理由としては、「同僚も上司も後輩も意思をともにする同志」という連帯感が根底にあるからだと思います。そのために、SIIのコンセプトやビジョンを守り、温め、進化させて発信している。そうすることで共通の価値観が生まれ、そのもとで各メンバーが主体的に学び、行動し、試行錯誤を繰り返しながら、設定した目標を着実かつ適切なスピードで実現しています。これもSIIの大きな特徴だと思います。

「社会のため」は自分のためにもなる


──SIIの活動は、PwCコンサルティング全体やクライアント、また自身にどのようなポジティブな影響を与えていると思われますか。

石川:私はSIIでは社内のソーシャルチェンジ施策を担うチームを立ち上げ、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」という、PwCのPurpose(存在意義)を体現するためのカルチャー醸成・社内の意識改革を推進しています。当初、3人で始めたチェンジマネジメント活動でしたが、今や15人の大所帯となり、社内において同じ志を持つ人を増やすことに寄与できていると実感しています。

私が担当している意識改革は、将来的にクライアントの課題に対して対応できる人材を作るための育成活動でもあります。そういう意味では、SIIでの活動があらゆる面でクライアントへの価値提供につながっているとも捉えています。

下條:社会課題は「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、「自分には関係ない」と思っていても、実は誰かの取り組みの恩恵を受けていることが往々にしてあります。それに気がつくためにも、石川さんが推進しているような意識改革は必要不可欠だと考えています。

金丸:確かに、SIIの活動は普段の業務にも好影響を及ぼします。私がいま従事しているプロジェクトは物流企業のサステナビリティ戦略支援です。サステナビリティというと気候変動が真っ先にフィーチャーされますが、労働環境の改善や災害地域の物流維持など、実は解決すべき課題が他にも山積しています。しかも株主利益だけでなくマルチステークホルダーの全体利益をどう実現するかが、サステナビリティにとっては重要です。そこには1社だけで立ち向かうには絶対的な限界がありますが、SIIが唱えるコレクティブ・インパクトという考え方がとても役立ち、企業価値向上という結果を提供できる強力な手段になっています。


髙梨智範◎テクノロジー・メディア・テレコム事業部 ディレクター。国内大手コンサルティング会社を経て、2016年に入社。幅広い業界に対して、業務改革から全社システム刷新まで一貫した改革支援に従事。近年は、テクノロジー・通信会社向けESG・SDGsに関する戦略策定、イノベーション創出支援などのコンサルティングサービスに重きを置く。PwC財団の設立にも従事。社会・環境価値と経済価値の両立に、難しさと面白さを感じている。

コンサルが行うべきは「プッシュ型アプローチ」


──そうしたコレクティブ・インパクトを創出していこうとする考え方について、みなさんどのように受け止められていますか。

石川:社会課題の解決への取り組みが求められたとき、これまでは企業単位、もしくは業界単位で対応を検討する傾向がありましたが、それを変える概念であり、無限の可能性を秘めていると思います。すでに、SIIには部門横断でさまざまなバックグラウンドの社員が集まり、個々の強みを発揮することで、取り組みの輪がどんどんと広がっています。同じようなムーブメントが社会全体で起きれば、これまでにないインパクトが生まれるはずです。

髙梨:私も社会に大きなインパクトを生む新たな思考だと思います。コンサルティング業を通じて、サステナビリティの取り組みを進める現場では、サプライヤーのCO2排出量削減やサーキュラーエコノミーの実現など、企業単体では解決できない問題に直面することが増えていると感じます。コレクティブ・インパクト・アプローチは効果的なインパクトを生むと同時に、課題解決を新たなステージに引き上げる上で欠かせない概念になっていくでしょう。

金丸:コンサルティング業界では、盛り上がりを見せるサステナブル領域で売上になる案件の取り合いになることもありますが、これは課題解決へのプル型アプローチだというのが我々の認識です。見据えるべきはその先。新しい世界観を描き、その実現のための課題解決に必要なプレイヤーに提案を行うプッシュ型アプローチが、価値創造を担う我々コンサルタントに本来求められるものだと思っています。これはコレクティブ・インパクト・アプローチの概念と深く通底する部分があります。収益化が困難な社会課題であっても、行政やNPO、大学、民間企業などの必要なプレイヤーを巻き込んで新たな仕組みを考えていく。幅広い領域のクライアントと信頼を構築してきたPwCコンサルティングだからこそ、コレクティブ・インパクト・アプローチのためのコーディネーター役を担えるのです。


下條美智子◎公共事業部 シニアマネージャー。独立系SIerでのシステムエンジニアを経て、2009年に入社。キャリアの多くは、経理業務改革や会計システム導入に関わるコンサルタント業務に従事。17年に社内プロボノ活動の開始をリード、19年に、社会・環境課題解決にコミットするべくSIIを立ち上げる。PwC財団の設立にも従事。社内外の仲間とともにコレクティブ・インパクトが創出される社会を目指している。

──「SDGs」という言葉が定着しましたが、解決が難しい大きな課題ほど後回しにされている印象を拭えません。個人として手掛けていきたい分野、SIIを通じて実現したい目標をうかがえますか。

髙梨:
私は持続可能な社会の実現には、最大のステークホルダーである企業がサステナビリティ経営に取り組むことが重要であり、それは自身の経験から最も貢献できる領域だと考えています。同じ志を持った仲間とひとつでも多くの企業のサステナビリティ・トランスフォーメーションを実現し、それら企業のコレクティブ・インパクトを支援することで、持続的でよりよい世界をつくることに貢献していきたいです。

下條:SIIが関わった企業や団体の方々が「私たちもSIIに入りたい」と言ってくださるようなイニシアチブに成長していくことは理想のひとつですね。

コーポレートサステナビリティの先にある、より大きく複雑な社会課題をシステムから変革していこうとする場合、プロジェクトマネジメント手法も従来とは変わってきます。こういった新たな思考方法をコンサルティングワークの中に取り入れていきたい。これからの世界では、脱炭素やエネルギー・資源問題だけでなく、難民・人道支援といったテーマへの対応もクローズアップされます。世界が抱える課題をシステムで捉え、中長期視点に立った取り組みができるレベルまで力をつけていきたいと思います。



PwC コンサルティング 「ソーシャル・インパクト・イニシアチブ」 連載
#1 公開中|「社会課題の解決にもビジネスの優位性を」──PwCコンサルティングの部門横断型チームが構築する新たなビジネスモデルとは
#2 本記事|「マルチステークホルダーをつなぐハブに」SIIだからこそ実現可能な社会課題解決へのアプローチ
#3 公開中|各業界の脱炭素戦略にどうアプローチするべきか。ナレッジの共有で横断的な施策を提案するPwC コンサルティングSIIチーム
#4 公開中|コンサル視点と当事者目線の両立で社会課題の解決を。PwCコンサルティングがプロボノ活動を積極的に推進する理由

Promoted by PwC Consulting LLC / text by Jonggi Ha / photographs by Tadayuki Aritaka / edit by Kaori Saeki

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社会課題の解決を目指すコレクティブインパクト

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