各国で異なる大麻事情 死刑を科す国は?

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米女子プロバスケットボール(WNBA)のスター選手、ブリトニー・グライナー(31)がロシアで拘束された問題は、大麻製品を海外に持ち出すことの危険性を浮き彫りにした。

WNBAチームのフェニックス・マーキュリーに所属するグライナーは2月17日、モスクワのシェレメチェボ国際空港で、荷物から電子タバコ用の大麻オイルカートリッジが見つかったことで逮捕された。ロシア当局から麻薬密輸の疑いを掛けられおり、最高で懲役10年を言い渡される可能性がある。

グライナーの逮捕は、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日よりも前の出来事だったが、侵攻に強く反対してきた米国との政治的駆け引きの手段だったとみる人も多い。ロシア当局は3月17日、捜査継続のため、グライナーの勾留期間を5月19日まで延長したと発表した。

大麻製品の所持がこうした問題を引き起こした事例は過去にもある。アラブ首長国連邦(UAE)では昨年、英サッカーコーチのビリー・フッド(24)が、車の中からベーピング用のカンナビジオール(CBD)小瓶4本が見つかったことで、逮捕された。

CBD製品は英国では合法だが、UAEでは違法とされる大麻の精神活性化合物テトラヒドロカンナビノール(THC)を微量に含んでいる。フードは麻薬密輸の罪で禁錮25年を言い渡された後、上訴によって刑期が10年に軽減された。

米国では嗜好用大麻を合法化する州が増加しており、欧州諸国の大半でもCBDなど大麻由来商品の使用を制限付きで認めているが、それ以外の国では大麻が違法とされていることが多く、たとえ少量の所持でも厳しい刑事罰が科される可能性がある。所持や密売の罪に対して死刑を適用可能としたり、実際に死刑を執行したりしている国もいくつかある。

以下に、大麻の消費・所持・密輸で死刑になる可能性がある国の例を挙げる。

サウジアラビア

サウジアラビアでは、大麻の使用と所持は違法だ。大麻の個人使用には最高で禁錮6月やむち打ちなどの身体刑が科される(ただしむち打ち刑は2020年に廃止されている)。大麻密売には禁錮2〜10年が科され、大量の違法販売は死刑の可能性もある。ただ、実際に死刑が言い渡されることはまれだ。
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編集=遠藤宗生

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