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2022.04.08 08:30

カナダのルルレモン店頭でデモ、業界の環境対策に強まる批判


化石燃料の使用状況では、半数近くが「不合格」に


Stand.earthは、業界全体で47のファッションブランドを検証し、そのうち19ブランドが、同団体の提唱する「化石燃料を使わないファッション・スコア」で不合格になったという。これらの不合格とされたブランドには、アンダーアーマー、プラダ、ジョルジオ・アルマーニ、LVMH、エバーレーン、ヒューゴ・ボスなどが含まれる。

実は、不合格リストにルルレモンの名前はない。同ブランドは、バーバリーやシャネルなどとともに、Dマイナスでなんとか不合格を免れたからだ。

一方、最高評価を得たのは、スイス発のプレミアム・アウトドアブランド、マムート(MAMMUT)だった。それでもスコアはBマイナスで、Cプラス評価のナイキがこれに続いた。

前述の気候行動憲章は、パリ協定の目標と整合性をとり、2030年までに温室効果ガス排出量を削減する目標を掲げている。Stand.earthは、この誓約を守らないファッションブランドは、「評判が落ちる、あるいは投資家にそっぽを向かれる深刻なリスク」があると警告している。

さらにStand.earthは、検証対象となった47ブランドのすべてに対し、サプライチェーンへの再生可能エネルギーの導入、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量に関する透明性の確保、化石燃料を原料とする繊維製品の使用削減、縫製工場における「石炭を燃料とするボイラー」の段階的使用停止といった施策を実行に移すよう要求している。

Stand.earthはとりわけ、各ブランドがカーボンニュートラルやクライメット・ポジティブといった目標に関する声明を発表しながら、裏付けとなる「排出量削減や再生可能エネルギー導入に関する強固な目標」を設けていない点を強く批判している。

実現可能な目標か、高い志か


ルルレモンは複数の公式声明において、環境問題への取り組みに関して自社が正しい選択をしているという印象を与えようとしている。ルルレモンは、サステナブル・アパレル連合(SAC)のメンバーであり、自社のサプライヤーに対しても、同連盟が開発した「HIGG INDEX 2.0」の適用を義務付けている。これは、エネルギー使用、温室効果ガス排出量、水の利用、下水や廃液、大気中への排出物、廃棄物、化学物質の管理による環境負荷を計測する指標だ。

さらにルルレモンは、国連ファッション業界気候行動憲章にも署名済みだ。この憲章ではファッション業界に対し、2030年までに温室効果ガス排出量を半減し、遅くとも2050年までに排出量をネットゼロとするよう求めている。

しかし、世界経済の現状に加え、コロナ禍によるサプライチェーンの大混乱、さらには、ロシアのウクライナ侵攻において状況がエスカレートする危険が高まっていることを考えると、2030年に向けて業界が掲げた野心的な環境目標を達成できるブランドが果たして存在するのか、疑わしくなってくる。

請願や誓約に署名するのと、そこに書かれた目標を達成するのはまったく別の課題だ。状況が改善すると期待することはできるが、期待は戦略ではないことは肝に銘じておくべきだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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