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2022.04.08

カナダのルルレモン店頭でデモ、業界の環境対策に強まる批判

Getty Images

カナダのバンクーバー郊外にあるルルレモンのキッツィラノ店は3月26日、デモ隊による抗議活動の洗礼を受けた。

デモ参加者たちの目的は、ルルレモンにとって初となるフットウェア・コレクションの販売開始で注目が集まる同ブランドの機先を制し、環境問題に対する同社の対応の遅れを告発することにあった。

この日集まった少人数の活動家たちは、ルルレモンのシューズは「石炭にまみれている」と主張した。デモ参加者は抗議の一環として、店舗の前でエクササイズをし、さらに同ブランドから発売されたばかりの女性向けのランニングシューズ「ブリスフィール(Blissfeel)」に模造品の石炭を入れて、自らの主張をわかりやすくアピールした。

この抗議活動は、環境保護団体「Stand.earth」によって計画されたものだ。この非営利団体(NPO)は、以前は「フォレストエシックス(ForestEthics)」と名乗っていた。

気候変動の進行に加担しているとしてルルレモンが批判されるのは、これが初めてではない。2022年冬季北京大会から2028年夏季ロサンゼルス大会までの夏冬合わせて4大会で、カナダの五輪代表チームの公式ユニフォームサプライヤーを務めることが2021年に発表された際にも、Stand.earthは同社を強烈に批判した。

さらにさかのぼると、2005年にはヴィクトリアズ・シークレットがやり玉に挙げられている。当時フォレストエシックスと名乗っていたこの団体は、カタログ販売業界が環境に与えるマイナスの影響に抗議する草の根キャンペーンを仕掛けた。その結果、ヴィクトリアズ・シークレットは2006年末、カタログで再生紙の使用割合を大幅に増やすことに同意。フォレストエシックスの主張が受け入れられた形となった。

「クリーン」とはほど遠い、ファッション業界の実態


今回、再びファッション業界に狙いを定めたStand.earthは、ルルレモン以外にも多くのアパレル系企業をターゲットとしている。2021年に第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催される前にも、同団体は報告書を発表し、ファッション小売業の大手9社を名指しで批判した。サプライチェーンにおける化石燃料の使用量削減について責任を果たしていない、というのがその理由だ。これらの企業の売上高は、合計で40億ドルを超える。

この時、Stand.earthが「著しく環境を汚染している企業」として名を挙げたのは、ルルレモンに加えて、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ギャップ、H&M、インディテックス(ザラ)、ケリング(グッチ)、リーバイス、ナイキの9社だった。

これら9社はすべて、国連ファッション業界気候行動憲章のもとで温室効果ガスの排出量を減らすと誓約していたが、検証の結果、これら9社のうち8社で、2019年には逆に排出量が増加していたことが判明した。この調査結果を受けてStand.earthは、この9社の中で2030年までに脱炭素化を果たすという目標を達成できる企業は1社もないだろうという予測を示した。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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