ビジネス

2022.04.07

150億円調達の決済のユニコーン企業Fastが突然の事業閉鎖

Andrey_Popov / Shutterstock.com

サンフランシスコを拠点とするワンクリック決済のユニコーン企業「Fast」は、資金調達に失敗し、新しい買い手を探していると報じられていたが、同社のCEOのDomm Hollandは4月5日、会社を閉鎖すると発表した。

Hollandは、自身の会社を「パイオニア」と呼び、先駆者の中には「山の頂上までたどり着けない人もいる」と述べた。彼は、自身が立ち上げた会社が、オンラインでの購入を「永遠に変えた」と話している。

ニュースサイトThe Informationは3月下旬、Fastが資金調達に失敗した後、新たな買い手を探していると報じていた。

同誌によると、潜在的な投資家はFastが半数以上の社員を解雇する予定だと聞いていたという。しかし、この話は同社のエンジニアリング責任者のVicky Xiongが2月にInsiderに語った「年末までにスタッフを倍増させる計画だ」というコメントと矛盾している。

Fastの2021年の収益は60万ドルと報じられており、この金額は競合のBoltの収益の50分の1程度でしかない。

スカイダイビングを趣味とするHollandは、Fastの初代CFOを務めた元ウーバー社員のAllison Barr Alleenとともに、2019年に同社を設立した。Fastは2020年11月の調達時に10億ドルと評価され、2021年1月に決済大手のストライプから調達した1億200万ドルを含めると、合計1億2400万ドル(約154億円)を調達していた。

公共ラジオNPRは今年2月、オーストラリア人のHollandが、母国で設立した会社のTow.com.auに関連する論争を残して米国に逃亡していたと報じていた。

Tow.com.auは「レッカー移動のウーバー」を目指していたが、オーストラリア州政府との「数百万ドル」の紛争により、2018年に会社を畳んだとされる。資金不足に陥ったHollandは一時、同社を通じて入手した2万1000人以上の個人情報の売却を検討していたと報じられている。

Hollandは、9月のタンパベイ・タイムズのインタビューで、「自分はいつも自分のことをやっていただけだ」と語り、多くの創業者は「世界に対して異なるレンズを持っている」と述べていた。

編集=上田裕資

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