新変異株「オミクロンXE」が出現、最も感染力が強い可能性

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新型コロナウイルスのオミクロン株に、また新たな変異が加わった。英国の公衆衛生当局と世界保健機関(WHO)が発表した初期のデータによると、2つの異なるオミクロン株が組み合わさったハイブリット型が英国で確認され、これまでで最も感染力が強い恐れがあるが、この変異株の脅威を判断するにはまだ早すぎると専門家は述べている。

英国健康安全保障局(UKHSA)によると、「XE」と呼ばれるこの変異株は1月中旬に英国で初めて検出され、その後600件以上の症例が確認されたという。

3月22日現在、英国では2万2763のXEのサンプルが確認されており、中国とタイでもごく限られた数の患者が確認されたと報告されている。

XEは、従来のオミクロン株であるBA.1と、より感染力の強いBA.2の要素を含む、2つ以上の異なるウイルスの遺伝子が組み合わさった混合型の変異株とされている。

UKHSAとWHOが発表した初期のデータによると、XEの感染力は、これまでの変異株の中で最も感染力が強いBA.2を約10%上回る可能性があるという。

UKHSAのチーフメディカルアドバイザーのSusan Hopkinsは、XEの脅威を判断するためには、より多くのデータが必要だと述べている。さらに、感染力の強さや、重症化率、ワクチンの効果について結論を出すためにはまだ十分な証拠がないと述べ、UKHSAが「今後も注意深く状況を監視し続ける」と述べた。

Hopkinsはまた、混合型の変異株が「特に珍しいものではない」と指摘し、パンデミック中に多数が確認されており、そのほとんどは、他の変異株と同様に「比較的早く死滅する」と述べた。

新たな変異株が、新型コロナウイルスの治療にどのような影響を及ぼすかはまだ分かっていないが、変異株は既存のワクチンを回避する可能性がある。オミクロン株は、ワクチンや過去の感染による保護を回避する能力が高く、BA.1もBA.2もほとんどのモノクローナル抗体治療に対して耐性があるとされる。

アストラゼネカの治療薬のエブシェルド(Evusheld)は、抗ウイルス薬のパクスロビドやモルヌピラビルと同様に、この変異株に対してまだ効果がある模様だ。XEがこれらの治療薬を回避できるかどうかについては、まだデータがない。

編集=上田裕資

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