経済・社会

2022.04.06 06:30

自宅用コロナ検査キットの使用急増の米国、そこにも見られる格差

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米疾病予防管理センター(CDC)が2022年3月25日に公表した調査結果によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでは、デルタ株の流行時と比べて、オミクロン株の流行時のほうが、短時間で結果が出る自宅用検査キットの使用が4倍近くに増えた。

しかし人口統計データによると、検査キットの使用割合には人種格差や経済的格差が存在し、ワクチン接種の格差と同様の傾向が見られるという。

18歳以上の成人を対象とした、自己申告によるオンラインアンケートにもとづくこの調査では、新型コロナウイルス感染症と思われる症状が出た人のうち、自宅でできる迅速検査キットを使用した割合は、デルタ株が優勢だった2021年8月~12月には5.7%だったが、オミクロン株が猛威をふるった2021年12月~2022年3月には20.1%と、大幅に増加したことがわかった。

2021年9月13日から2022年3月12日のあいだに、自宅でできる検査キットを使用したと申告した調査参加者の割合は、白人が5.9%、アジア系が4.7%、ヒスパニック系/ラテン系が4.5%、ハワイとその他の太平洋諸島先住民系が3.5%だったのに対し、黒人/アフリカ系アメリカ人は2.8%にとどまった。こうした結果は、米国の黒人コミュニティがコロナ禍によって甚大な影響を被ったにもかかわらず、こうしたコミュニティでワクチン接種がなかなか進んでいないことにも通じるものだ。

教育水準が高いほうが、自宅用検査キットを使用する割合も高い。調査では、大学院進学者で検査キットを使用していたのが8.4%だったのに対し、高卒あるいはそれ以下の場合はわずか3.5%だった。

また、収入が多いほうが、自宅用検査キットを使用する割合も多かった。世帯年収が15万ドル以上の場合は、9.5%が検査キットを使用したと回答したのに対し、世帯年収が1万5000ドル未満の場合は3.1%にとどまった。

自宅用検査キットの使用が最も多かったのが、米北東部に位置するニューイングランド地方だ。同地方では、調査回答者の9.6%が、自宅用検査キットを使用したと回答した。一方、米国勢調査局の区分である西南中部(アーカンソー州、ルイジアナ州、オクラホマ州、テキサス州が含まれる第7地区)の住民たちは、検査に熱心とは言えない。同地区居住者で検査キットを使用したと回答した割合は3.7%どまりだった。

新型コロナウイルスの自宅用検査キットを使用する人々は、2021年後半にデルタ株が猛威を振るった時と比べると、大幅に増えた。CDCによれば、2022年1月18日に米政権が検査キットの無料配布を開始した後、発症者および無症状者の成人のあいだで検査キットを使用する人が急増した。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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