NASAの有人月探査担う巨大ロケットArtemisの発射試験が中断

ケネディ宇宙センターの発射台39Bに向かうアルテミス1号(フロリダ州ケープカナベラル、3月17日)(Photo by Joel Kowsky/NASA via Getty Images)

米航空宇宙局(NASA)は4月4日、月と火星への有人探査ミッションへの道を開くことが期待される、巨大ロケット「アルテミス1号(Artemis I)」の打ち上げテストを中断させた。

今回のテストは、「ウェット・ドレス・リハーサル」と呼ばれるもので、実際の打ち上げと同じ状況をシミュレーションし、すべてのシステムが正常に機能するかをテストするものだった。ドレス・リハーサルは、「舞台稽古」を意味するが、ロケットの場合は液体燃料を使用することからウェットという単語を加えている。

4日のテストは、発射台の重要なベントバルブが開かないことが発見され、中止された。

2日間のリハーサルは、当初は3日に終了する予定だったが、発射塔の密閉されたエリアから危険なガスを排除するために使用される2つのファンに問題があることが判明したため、一時中断されていた。

NASAは、アルテミス1号のチームが次回のリハーサルに向けた準備を進めているとツイッターで述べた。ただし、次回のテストの前にロケットに充填した超低温の液体酸素推進剤を排出する必要がある。

アルテミス1号は、月や火星への有人ミッションや土星、木星などの無人探査活動を実現する「史上最強のロケット」であるスペースローンチシステム(SLS)の土台となる。

フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられるアルテミス1号は、月面の約62マイル上空を飛行し、重力を利用して月から約4万マイル離れた軌道に乗る予定だ。その後、より遠くの軌道で6日間を過ごし、データを収集し、NASAがその性能を評価する。

このロケットの最終リハーサルは、技術的問題を受けて何度も延期されたが、アルテミス1号のブースターは、これまでのブースターよりも6カ月長い18カ月の間、完全に組み立てられた状態で待機することが可能とされている。

技術者によると、アルテミス1号は2日に複数回の落雷を受けたが、損傷は受けていないという。NASAはアルテミス1号で収集したデータを使って、有人のアルテミス2号を月に向けて打ち上げる予定だ。このミッションは、1972年以降で最初の有人の月探査ミッションとなる。

アルテミス1号の高さは322フィート(約98メートル)で、台座を含めた自由の女神像よりも17フィート高い。

編集=上田裕資

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