原料として、製造段階で捨てられている果皮を活用するというアイデアは、地元の住民との会話から生まれた。「昔、食料がなかった時代には、柿の皮が子どもの栄養補給源としておやつになっていた」と聞き、その成分を科学的に証明するべく実験・研究を重ねたのだ。
薬機法上の申請など約3年の歳月を掛けた末、商品化に至った。
「自分の身体を知ることの大切さ」を発信
ブランド立ち上げから3年目となった現在、売上規模が前年の約3倍になるなど右肩上がりに成長している。ECサイトのほか、全国の百貨店や大手雑貨店・ホームセンターなど約200店舗へと販路も拡大した。
最近では、「自分の身体を知ることの大切さ」を発信する活動にも力を入れている。その一貫で、2月には冊子『はたらく女性の心と身体FACTBOOK~未来のわたしに、今のわたしができること~』を発行した。
冊子『はたらく女性の心と身体FACTBOOK~未来のわたしに、今のわたしができること~』
医学博士の宗田聡氏(婦人科「広尾レディース」院長、茨城県立医療大学客員教授)監修のもと、生理やPMS、妊娠、出産、育児、閉経など、女性の身体や心に起きる不調を紐解いている。
「女性特有の健康課題は、学校で教わることもなく、知る機会がありません。ファクトブックでは、20代から60代の働く女性が直面し得る不調や、ぶつかるかもしれない“壁”を網羅的にまとめています。自分の心と身体をまず知ることで、備えることもできるし、その後のキャリア選択にもつながってくる。多様な選択肢を提示できればと思い制作しました」
ファクトブックは、公式オンラインショップでの商品の購入者に無料で配布しており、直接手に取れるアプローチとなっている。他方で小林は、企業・自治体向けに「はたらく女性の心と身体」をテーマにした研修・講座も行うなど、積極的に発信を続けている。
創業から3年。陽と人には、若い世代から「一緒に働きたい」という問い合わせも増えているという。
「本当は福島に戻りたいけど、『働く場所がない』『体質的に古いところで働きたくない』という方は多いんだなと感じています。故郷に戻れる場所がないという課題に対しても、私たちが受け皿になっていければいいですね」