テクノロジー

2022.04.09 08:30

環境負荷削減に貢献。月額制の空調サービス「AaaS」とは


事業を実施する際にキーとなるのはIoT(データ活用)とファイナンスと考えており、IoTについてはダイキンの持つ強みを活かし、ダイキンにはないファイナンスの分野については三井物産が補完するという方法で、事業を立ち上げることになりました。「ソリューション事業自体が高付加価値を提供し、収益性を持つ」ビジネスモデルのスタートです。
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2016年7月のエアアズアサービス立ち上げ後、2018年1月に本格的なサービス開始を発表。2019年にはダイキンからの資本金を増資し、三井物産とダイキンからの出向社員を含むメンバーで会社を運営しています。お客様への提案やサービス契約はAaaS社が行い、空調の設計・施工・保守・エネルギーマネジメントはダイキングループで提供しています。

PaaSモデル構築にあたっての課題意識・顧客ニーズとその解決策は?


どのメーカーも先進的な省エネ機器を開発するようになってきていたのですが、普及率が低いという実態がありました(省エネ型 : 標準型 = 3:7)。また、売り切り型のビジネスモデルでは、せっかく省エネ機器が納入されても、運用時にお客様がその機能を充分に使いこなせておらず、メーカーはお客様の利用シーンにまで入り込めていないという点も課題でした。

さらに、施設の設計・運用の工程において、設計~施行~保守~エネルギーマネジメントなど各プロセスに関わるステークホルダーが多く、空調システムがうまく機能しない事態が発生した場合の責任の所在が不明確であるという点も、製品のライフサイクルにおける省エネ・環境負荷低減を阻む要素となっていました。
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一方で、省エネ・省コストを実現したいというお客様のニーズは従来からありました。ビルなどの施設で空調設備を導入しようとすると、初期投資だけで1億円規模の予算が必要になることもあります。また、購入後も突発的な不具合で修理が必要になるなど、予想外のコストが発生することはお客様にとって大きな課題でした。

近年はそれに加え、猛暑による熱中症のリスクを下げるために空調の重要性がより高まり、特に医療機関などでは慢性的な人手不足のため、空調の管理などをアウトソースしたいというニーズも高まってきています。

これらを総合的に解決するために、空調を安定稼働する責任をサービス提供側が保証し、なおかつお客様は月額の固定費でそれを利用できるようサービスとして、AaaSを立ち上げました。これによって、設計からエネルギーマネジメントまでのすべてのプロセスにダイキングループがワンストップで責任を持ち、お客様の空調機器の利用状況を常に把握し、省エネ・環境負荷低減につながるような空調機器の運転を実現できるようになりました。

空調の稼働時間が長く、かつ空調の稼働保証がより重要となる施設(病院・福祉施設・宿泊施設など)から特に高い評価を頂いています。
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文=和田麻美子 画像提供=ダイキンエアテクノ

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