キャリア・教育

2022.04.04 16:00

「退職後の蓄え」について求められる意識改革とは

鈴木 奈央
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私たちの働き方、暮らし方、お金の使い方はさまざまで、これまでのように貯蓄して老後に使うという画一的な退職金制度は、もはや現実的ではないのです。前述したような転機や、今はキャリアの「中断」と見なされるような目的でも、いつかは長い人生を豊かにするために必要なプロセスであったと振り返られるような目的のために、お金を使いたいと思う人は少なくないでしょう。

真の変革には、マルチステークホルダーによる解決が必要


人口動態の変化とそれに伴う経済的な影響に対処することはどの国でも課題となっています。今後数十年の間に、あらゆる国がこの現実に対応すると予想されますが、その準備のためにマルチステークホルダーによる解決が必要です。

長い老後にも、人々が安心して暮らせるだけの経済力を維持するため、リーダーや私たちには次のようなことが求められています。

政策立案者:創造力を高めましょう。21世紀の暮らし方と働き方にふさわしい効果的な貯蓄プランが立てられるよう人々を支援しなければなりません。前世紀からの年金制度はもはや通用しないのです。

企業:より公正で包括的なアプローチをとりましょう。ギグワーカー、専業主婦である母親、低所得労働者が、幅広い選択肢の中から商品を選べるよう、富裕層だけではなく、社会全体のための金融商品が必要です。金融リテラシー計画は、この新しい人口動態の現実に即したものでなければなりません。

個人:より大胆になりましょう。今こそ、すべてを見直すときです。キャリア変更や、新しい技能の習得を躊躇してはいけません。オンラインで非常に安価に取得できるコース、免許・証書、学位は何千とあります。

社会:より優しくなりましょう。人口動態の変化を問題視して、年齢差別的な固定観念を助長すのはやめましょう。寿命が延び、人生をどのように過ごすかについて選択肢が増えることは、私たちの特権です。老後の蓄えなどに関する長年の思い込みや確立された制度に対して取り組むことで、私たち自身に何ができるか(例えば、次の世紀に向けたすべての人々に向けた魅力的な貯蓄プランの策定など)について考え、現実的なニーズを満たす政策に対する意識を高める機会となるのです。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文 = Haleh Nazeri, Platform Curator, Financial Services, World Economic Forum

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