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2022.04.05

ウクライナ戦争で総額5.5兆円の取引が消滅、IPOやM&Aの延期で

Getty Images

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、世界の少なくとも100社が、総額450億ドル(約5.5兆円)以上の金融取引を延期または撤回したことがブルームバーグの集計で分かった。ウクライナ問題は、市場を動揺させ、ボラティリティと不確実性が高まる中で投資家の意欲を減退させた。

影響を受けた取引にはIPOや債権、融資、M&Aなどが含まれる。

ブルームバーグによると、2月下旬以降に約50社がIPO計画を中止しており、そこにはバイオテクノロジー企業のBioxytranや、メディア・金融サービス企業のCrown Equity Holdings、製薬企業のSagimet Biosciencesなどの米国で上場予定だった30社が含まれている。

コンサルタント会社EYによると、1月から3月までに世界で行われた約320件のIPOの調達総額は約540億ドルで、前年同期比で51%の減少だった。

M&A市場では、ロシアの侵攻開始以来、総額で50億ドル以上に及ぶ10件が延期になり、1〜3月の世界のM&Aの取引額は前年同期比15%減の1兆200億ドルに減少したとブルームバーグは報じている。最も影響を受けたのは、欧州だったという。

また、債券の発行額は、今年に入り世界で14%減少したとされる。

2021年の世界のIPOの調達額の合計は5940億ドルと、過去最高を記録したが、今年は地政学的な不安や、インフレを抑え込むための金利上昇が投資家たちを脅かしている。

市場の恐怖心を測る指標とされるCboeボラティリティー・インデックス(VIX)は、ロシアがウクライナに侵攻した際に30を超え、年初からの平均は26を超えている。ゴールドマン・サックスやJPモルガンなどの大手は、ロシア市場から距離を置いている。

編集=上田 裕資

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