そんな中、アメリカで、高齢化社会における新しい問題解決か?ともいえるおもしろい動きがみられる。
高齢者たちにのしかかる「住まい」のコスト
「Harvard Joint Center for Housing Studies」によれば、アメリカでも2030年には50歳以上の人口が1億3200万を超えるという。2030年には5人に1人が65歳以上になり、2040年には8人に1人が75歳になることが予測されている。
また、既に2012年には、アメリカで1250万人の65歳以上の高齢者が1人暮らししているという統計が出ている。ちなみに、そのうち70%が女性だ。
そして、高齢になってからのライフスタイルの中でも「住まい」にかかるコストはとりわけ大きいという数字も出ている。2012年には、50歳以上のアメリカの人口のうち3分の1が収入の30%以上を住居費として支払っていることが明らかになった。
住みなれた家から離れたくはない、しかし広すぎる家を維持するコストは重荷だし、セキュリティ上も心配だ。使っていない部屋や家具はいたむし、何より、年を取ってからの一人暮らしは不安──。
であれば、安い家を探している高齢者ハウスメイトを見つけて、ハウスシェアすればいいのではないか?
時代背景を背負ったそんな需要から続々と現れているのが、広くなりすぎた家にルームメイトを探している(一人暮らしが不安な、住宅コストも削りたい)老人と、安い住まいを探している(一人暮らしが不安な、住宅コストも削りたい)入居希望者とのマッチングサイト、「エルダーヘルプ(サンディエゴ大学発NPO)」「シニアホームシェアリング」「シニアホームシェアーズ」などだ。ユニバーシティ・オブ・ミシガン病院にも「シニアのホームシェアプログラム」が設けられ、マッチングの活動を行なっている。
「シニアホームシェアリング」のサイト
いずれも会員登録無料、オンライン上でハウスメイトを見つけることができる。
孤独感は「毎日タバコ一箱」と同じ悪作用
「シニアホームシェアーズ」創業CEOのステファニー・ヒーコックス氏は数年前、一人で暮らせなくなってきた高齢の母親が有料老人ホームには入りたがらないことに困って、このアイデアを思いついた。
高齢者は家の中で階段から落ちたりして怪我をする恐れもある上、丸一日誰とも話さない日も多くなる。最近ではシニア層の中で孤独感は特に大きな問題となっている。ある研究結果によると、孤独感は「毎日タバコ一箱を吸う」のと同じ負の影響を体に及ぼすそうだ。
ヒーコックス氏は、母のような高齢者たちが同じような境遇の人たちと一緒に住み、交友関係を構築し、食事なども共有する環境を目指した。結果、「シニアホームシェアーズ」は、必要以上に家が広い老夫婦や高齢未亡人と、安全で手頃な価格の住まいを探している高齢者をマッチングするサービスを提供している。