新たな「老後の風景」? いま、老人たちのルームシェアが熱い

Getty Images


「ヘルパーシステム」。連絡の受返信も代行


ヒーコックス氏がこのプロジェクトを実現するにあたってまず初めに作ったのが、「ヘルパーシステム」だ。


Getty Images

「シニアホームシェアーズ」では住宅所有者と家を探している者同士をマッチングするために、希望者に個人プロフィールをサイトから入力してもらう。趣味やこだわりなどを含む自己紹介文章の入力や、高齢者ならではの質問や一緒に住むにあたって気になる点なども記入できる。

「ヘルパーシステム」は、このサイトから入力を、ホームシェアを利用する高齢者本人ではなくヘルパー、すなわち家族や友人に代わりにやってもらう仕組みだ。まずはウェブサイトで初期設定をし、連絡の受返信も本人に代わって行うことが可能だ。

ちなみに居住地や予算など、ユーザーのプロフィールに関する質問にアルゴリズムを適用し、各ユーザーに適したハウスメイトを紹介するシステムとなっている。

江戸時代の「長屋」的な共同体や、三世代以上同居世帯が珍しくなかったかつてへの回帰は無理かもしれない。だが、住空間をシェアすることで高齢者たちも、「テラスハウス」さながらに、自分たちのコミュニティを作ることができるのではないか。「アメリカでは一人暮らしの70%が女性」の数字があるので、男女比がやや心配ではあるが──。

老後の人生における「正解」「幸福」は実に人それぞれには違いない。だが、大事なのは選択肢が増える、それぞれの引退後の人生を選べることだ。高齢者のQOL向上の意味からも、「老人たちのルームシェア」は、老後の人生におけるダイバーシティの実現になっていきそうだ。

文=石井節子 協力=我満萌香

ForbesBrandVoice

人気記事